2011/8/3

コーヒーブレイク

首相の選挙戦略が裏目に?~ロシア

この記事の要約

プーチン首相が選挙運動のために結成した「全ロシア人民戦線」が苦戦している。もともとは、政権党の「統一ロシア」の支持率低下を食い止め、再び3分の2の票を得る目的で非政治団体を巻き込んだ運動を展開する構想だった。しかし、あま […]

プーチン首相が選挙運動のために結成した「全ロシア人民戦線」が苦戦している。もともとは、政権党の「統一ロシア」の支持率低下を食い止め、再び3分の2の票を得る目的で非政治団体を巻き込んだ運動を展開する構想だった。しかし、あまりに官僚的な運用に、ブログでは笑いの標的にすらされている。

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全ロシア人民戦線への加盟者数は4,100万人弱と人口のおよそ3分の1に上る。その理由は、農民協会や年金生活者協会、ロシア国鉄、ロシア郵便などが会員や社員の意向を無視して、一括加盟したことにある。著名建築家のエフゲニ・アス氏など107人の建築家が公開書簡を通じて「強制加盟」に抗議したほか、作曲家連盟も加盟を拒否した。ウラジオストク・パシフィックオーケストラの指揮者でピアニストのミハイル・アルカディエフ氏は人民戦線を公に批判したために、今期限りで解約の憂き目にあった。

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人民戦線の人気は低く、世論調査基金の調べでは国民の60%以上が人民戦線は「何の役にも立たない」と考えている。現地誌『ニュータイムズ』によると、春の地方選で50%を割った「統一ロシア」の支持率は現在、35%まで下がっている。

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プーチン首相は評判の悪化を懸念し、党の会合で「自由意志に基づかない加盟は運動の障害になるだけ」と釘を刺したが、「時すでに遅し」の可能性もある。ロシア語ブログで笑いの種にされているのは、「ロシア金髪女性フォーラム」やエンゲリス市墓地職員が「人民戦線」に加盟したというような話題だけではない。「なりふりかまわぬ人数水増し」を皮肉って、ミシェル・オバマ米国大統領夫人や、リビアのムアンマル・カダフィ大佐などの名前を記入した加盟申請書のスクリーンショットが次から次へとアップロードされている。

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人民戦線のスタートのつまずきと、支持率の低迷を受けて「統一ロシア」は9月最初の週末に開催を予定していた党大会を同月23日に延期した。党大会では12月4日の国会選挙の選挙公約と候補者リストが承認されることになっている。ロイター通信の7月27日報道では、プーチン首相が大統領選出馬を示唆する場として予定されていたといい、党としてこの状況にどう対応するのか、気になるところだ。

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