日本観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した東北地方太平洋沖地震で、ロシアと日本の外交関係の緊張が緩んでいる。北方四島返還問題で第2次世界大戦直後のレベルまで冷え込んだ両国関係だが、救援活動やエネルギー支援といった災害対策で対話が復活。これを機に外交関係が改善するとの観測も浮上している。
\日本政府は福島第一原発の被災で電力不足が確実となった12日、ロシア政府にエネルギー供給の上乗せを要請。また、13日にはロシアの救援部隊派遣の申し入れを受け入れた。アレクサンドル・ロシュコフ元駐日ロシア大使は、外交問題で意見の相違があっても、人間同士であることに変わりないという事実を示すものとコメント。ロシアの支援を受け入れた日本の姿勢を「賢明な判断で嬉しく思う」と歓迎した。
\ロシアのラブロフ外務相が14日、モスクワの日本大使館で震災犠牲者の冥福を祈って花をささげたほか、花やろうそくを持って大使館前を訪れる一般市民も多数に上っている。河野雅治大使はプレス発表を通じて「ロシア国民の皆様からも、お見舞いと連帯の気持ちが私の元に次々に寄せられており、心温まります」と感謝の気持ちを表した。
\ロシアと日本の関係はここ数カ月、北方領土問題をめぐって大きく悪化した。日露外相会談を4日後に控えた先月7日、菅直人首相がメドベージェフ大統領による11月の国後・択捉島訪問を「許しがたい暴挙」と非難したことで、対立はさらにエスカレート。ロシア国防省は北方領土の軍備を増強する計画を打ち出していた。
\両国は第2次世界大戦中にソ連軍が占領した北方四島の帰属問題が障害となって未だに平和条約締結が成らず、国交正常化が実現していない。
\ \■環境団体、政府の原子力政策を批判
\ \ロシア政府が従来の原子力政策を堅持する方針であるのに対し、国内の環境保護団体は「日本の事例から学ぶべき」と反対姿勢を強めている。環境団体「エコディフェンス」のスルビャーク氏は「原子力利用で安全を100%確保することは無理であり、政府が設置拡大を計画する水上原発や、地震多発地帯での原発設置はそのリスク拡大を意味するに他ならない」と話している。
\ロシア非常事態省によると、東北大震災による津波の危険を避けるため、ロシア極東地方でも1万1千人が一時避難した。そのほとんどは13日までに帰宅したという。
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