2012/5/16

コーヒーブレイク

年金改革反対派が議事堂出口を封鎖~ポーランド

この記事の要約

ポーランド下院は11日、国民の反対を押し切って年金改革法を可決したが、その直後、帰路を急ぐ議員が労組「連帯」が率いる反対派の「人間の鎖」に阻まれて1時間以上、足止めを食らった。採決を前に議事堂前に集まった市民は、閣僚の写 […]

ポーランド下院は11日、国民の反対を押し切って年金改革法を可決したが、その直後、帰路を急ぐ議員が労組「連帯」が率いる反対派の「人間の鎖」に阻まれて1時間以上、足止めを食らった。採決を前に議事堂前に集まった市民は、閣僚の写真を燃やしたほか、トゥスク首相の写真を絞首台にぶらさげるなど、激しく抗議。連帯の代表は、来月9日に開幕するサッカー欧州選手権(ユーロ2012)でも抗議行動を展開すると警告している。

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最大野党「法と正義(PiS)」のカチンスキー党首は、年金改革で導入される早期退職制度が高齢者を「餓死」に追いやるものと批判。トゥスク首相の「破廉恥さ」に比べれば「ヒトラーがポーランド征服の夢」のほうがまだまし、とまで言い切った。

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年金改革法は、年金受給開始年齢を現行の男性65歳、女性62歳から毎年3カ月延長し、男性で2020年、女性で2040年に67歳まで引き上げることを定めている。また、早期退職制度を導入するほか、警官、兵士など「制服公務員」の優遇を是正する。

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トゥスク首相は高齢化に備えて改革を今実行しなければ、20年後、30年後に年金システムが維持できなくなるとして国民の理解を求めた。しかし反対が強く、トゥスク首相率いる与党・市民プラットフォーム(PO)の支持率は急落している。

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ポーランドは欧州連合(EU)加盟以来、100万人以上が国外に移住した。女性1人が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)は1.3人とEU加盟国内でも低くなっている。

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