2010/10/27

コーヒーブレイク

チェコ産ワイン、2010年は質・量ともに不作の年=洪水や天候不順で

この記事の要約

今年6月に東欧諸国を襲った洪水は環境や経済に深刻な影響を与えたが、その数ヶ月後にはチェコ産ワインにもダメージが及んだ。現地紙「プラハ・ポスト」によると、今年の不安定な気候のせいで葡萄の収穫量が落ち込み、価格は例年の10% […]

今年6月に東欧諸国を襲った洪水は環境や経済に深刻な影響を与えたが、その数ヶ月後にはチェコ産ワインにもダメージが及んだ。現地紙「プラハ・ポスト」によると、今年の不安定な気候のせいで葡萄の収穫量が落ち込み、価格は例年の10%高となるものの、品質は例年以下という。

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チェコのワイン生産者協会のプチェク広報担当官は、今年の葡萄の収穫量はここ10年間の平均である1ヘクタール当たり5.8トンの約半分、同3トンほどにとどまる見通しだと語る。これは、約3,800万リットル分のワインに相当する。ちなみに同国の例年のワイン生産量は5,000万リットルだ。

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今年は葡萄の木のカビ被害からムクドリによる被害まで、チェコの葡萄農場はありとあらゆる災難に見舞われた。最大の被害をもたらしたのは6月末に起こった大洪水で、約80ミリに達した降雨のせいで土壌は完全に浸水。日照不足も重なり、今年のワインは酸味が強く辛口となり、品質は例年以下の「外れ年」となる見込みだ。政府や欧州連合(EU)による各種支援策も存在するが、それらは葡萄栽培に関する包括的な枠組みに過ぎず、特定の年の状況に応じて柔軟に対応するものではない。

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しかし、チェコ産ワインにとって悪い話ばかりではない。市場調査会社ビジネス・モニター・インターナショナル(BMI)が発表した「2010年チェコ食品・飲料レポート」によると、同国のワイン消費量は現在、人口1人当たり年約18リットルだが、売上高は年3.74%のペースで伸びており、2014年までにワインの消費量がビールやスピリッツを抜く見通しだ。特に若者の間でワイン志向が高まっているという。

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前述のプチェク氏は、「チェコはワイン生産地として北限に位置し、気温の変化や雨季に悩まされ、南欧などと比較すると生産量も一定ではない。しかしその一方で、これらの条件があるからこそ個性的なワインが生産できるのだ」と語っている。

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