中東欧の有望な投資先としてセルビアが注目が集めている。政治・経済状況が安定していることに加えて法人税率や雇用者負担率は欧州最低水準にあり、投資インセンティブも充実しているためだ。特に自動車関連産業は、旧ユーゴ連邦時代に培われた産業基盤があり、ドイツや韓国、中国などからサプライヤーの進出が相次いでいる。
\昨年末に南部プロクプリエ(Prokuplije)で生産を開始した独自動車部品大手レオニのプロジェクトマネージャー、プロハスカ氏は、「セルビアの投資環境は素晴らしい」と賞賛する。同社が、独自動車大手BMWに供給する部品の生産拠点を南東欧地域で探した際には、セルビアのほかモルドバやマケドニア、ブルガリアも候補に挙がっていた。プロハスカ氏は、セルビアへの投資を決定した理由として、顧客へのジャスト・イン・シークエンス供給が可能であり、即入居可能な工場物件を短期間で確保できたことを挙げる。
\ドレクスルマイアー、IGバウアーヒン、仏Lohe、Le Beiler Streit Groupe、英アルボン・エンジニアリング、サウジアラビアのネオバスなどが工場を構える北部ボイボディナ自治州投資促進庁(VIP)のブガルスキー氏によると、セルビア経済省は各州に対し外国企業の進出手続きを可能な限り短縮するよう通達を出しており、ボイボディナ自治州の場合、問い合わせから生産開始までの最短記録は3週間というスピーディーさを誇る。
\ \■豊富なインセンティブ
\ \中東欧の中で外資誘致に関しては後発組に属するセルビアは、豊富なインセンティブを提供して投資誘致に力を入れている。財政面では、投資金額が2億ユーロ以上、雇用創出規模が1,000人以上の大型投資案件の場合、投資額の最大25%を政府が負担する(投資金額5,000万ユーロ以上、雇用規模が50人以上の案件は投資額の最大20%を負担)。製造業やサービス業への投資には、雇用1人当たり2,000~1万ユーロの補助金が支給される。税制面では、10年間の法人税免除(大型案件の場合)、低開発地域への投資企業に5年間の法人税免除、固定資産の80%を上限とした税額控除、損失の5年間繰り越し、社会保険料の免除、自由経済地域における付加価値税の免除などがある。
\ポーランドやハンガリーなど中欧諸国では欧州連合(EU)加盟後に労働コストが倍に上昇した。セルビアもEU加盟を目指しているが、政府は経済の持続的な発展を維持するため、労働コストの急激な上昇を抑制する方針を示している。
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