2010/1/20

総合・マクロ

中東欧の金融市場、今年も低迷続く

この記事の要約

英調査会社キャピタル・エコノミクスは13日発表した報告書で、中東欧の金融業界はリーマンショックの影響から脱却しておらず、今年も低迷が続くとの見通しを示した。\ 報告書の執筆者であるキャピタル・エコノミクスのシニアエコノミ […]

英調査会社キャピタル・エコノミクスは13日発表した報告書で、中東欧の金融業界はリーマンショックの影響から脱却しておらず、今年も低迷が続くとの見通しを示した。

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報告書の執筆者であるキャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、シェリング氏は、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、バルト3国の金融機関の資金ポジションは依然として弱いと指摘。過去の過剰融資のつけで、年間を通じて信用不安は解消されないだろうと予測した。

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中東欧ではスイスフランなどの低金利通貨建てローンが普及しているが、リーマンショック以降の通貨急落で返済額が膨らみ返済困難に陥るケースが続出している。中東欧で多額の貸し出しを行っているオーストリア、ドイツ、イタリア、スウェーデンなどの金融機関は、同地域での不良債権拡大によりバランスシートを悪化させており、シェリング氏は「新たな金融危機の火種になりかねない」と警戒する。

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キャピタル・エコノミクスの調べによると、銀行の不良債権比率はラトビアが14.5%とCISを除く中東欧で最も高く、エストニア(12%)、ルーマニア(11.2%)、ブルガリア(10.1%)、ハンガリー(9.5%)、リトアニア(8.2%)も高水準にある。また、外貨建てローンの比率はラトビアで91%、エストニアで87.1%、リトアニアで71.8%に達しており、残る3カ国でも3分の2を占めている。フィッチ・レーティングスのシニア・ディレクターであるステインバース氏は、「外貨建てローンに依存する構造が昨年、これらの国をデフォルト寸前に追い詰めた」と述べ、今後も金融安定性を脅かす可能性が高いと警告した。

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