2010/4/14

バルト三国

エストニア、電力市場を一部自由化

この記事の要約

エストニア政府は1日付けで、電力市場の35%を自由化した。周辺国の電力大手を参入させ、電力インフラの近代化を図るのが狙いで、2013年には完全自由化を予定している。ただ、エストニアの電力価格はこれまで欧州連合(EU)内で […]

エストニア政府は1日付けで、電力市場の35%を自由化した。周辺国の電力大手を参入させ、電力インフラの近代化を図るのが狙いで、2013年には完全自由化を予定している。ただ、エストニアの電力価格はこれまで欧州連合(EU)内で最低水準だったこともあり、自由化が電力価格の高騰を招き、製造業など企業の負担を増加させると懸念する声も強い。

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電力市場が開放されていなかったのはバルト3国の中でエストニアだけだった。同国は安価なオイルシェールの電力利用が進んでおり、EU統計局ユーロスタットの資料によると、100キロワット時当たりの電力価格は09年初でEU内最低の6.43ユーロ。15.7ユーロで最も高いマルタの4割程度でしかなく、EU平均の10.51ユーロを大きく下回っている。だが、発電施設の大半は老朽化しており、環境対策コストの上昇が見込まれる2016年までに、7割が改修または閉鎖を迫られるとされる。

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このため政府は、独エーオンやフィンランドのフォータム、スウェーデンのバッテンフォールなど、欧州の電力大手を国内市場に参入させ、遅れている発電インフラの近代化や発電効率の向上を進めたい考えだ。一方、国内の産業界はノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークなど北欧の電力市場への統合が進めば、エストニア企業の電力コスト負担は平均35~40%上昇すると予想。同国製紙大手エストニアン・セルのRatnik社長は「配電料負担や消費税、環境対策コストを含めると、電力コストに対する企業負担はフィンランドよりも高くなる」と述べ、エストニア企業の国際競争力低下を懸念した。

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