ロシア国営ガス企業ガスプロムの欧州事業を統括する独子会社ガスプロム・ゲルマニアは8日、2009年通期の売上高が80億2,950万ユーロと、前年から44%拡大したと発表した。今後は大口の輸送事業だけでなく、最終消費者(エンドユーザー)への供給事業も手掛けていく方針だ。
\ドイツでは昨年末に東部のガス輸入会社VNGの株式を追加取得し、少数株主権を手にした。ただ、ドイツの最終消費者市場に参入するに当たっては、政界と競争当局が慎重な姿勢を示しており、早期の実現は難しいとみられる。このため、まずはイタリア、チェコ、トルコにおける事業計画を優先する。
\ゴルニヒ社長は決算報告会で、ベラルーシ、ウクライナを経由する輸送が不安定なことが、ガスプロムへの不信を生んでいると分析。両国政府との政治的対立による供給不足を避けるため、欧州における貯蔵能力を大幅に拡充する方針を示した。ドイツ、英国、オランダ、ハンガリーで貯蔵施設を増設し、現行の3億立方メートルから30億立方メートルへ10倍化する計画だ。これにより安定供給を確保した上で、政界・行政当局への働き掛けを強める。
\なお、ガスプロム・ゲルマニアの通期税引き前利益は、前年比8%減の4億9,700万ユーロに縮小した。ガス価格の下落が響いた。
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