独フォルクスワーゲン(VW)グループ傘下の高級車メーカーであるアウディが、ハンガリー北西部にあるジュール工場を大幅に拡張する。従来からのエンジン生産と自動車組み立てに加え、車体製造と塗装も同工場で手がけることになる。これによりアウディは長年検討してきた米国現地生産計画を最終的に放棄した。独業界紙『アウトモビールヴォッヘ』が23日報じた。
\アウディは企業戦略「ストラテジー2020」で、2015年までに世界販売台数を150万台に引き上げる目標を掲げている。今回の投資もこれに沿うものだ。ハンガリー工場で生産を拡大する理由としては、人件費の安さが指摘されている。熟練労働者の賃金水準はドイツの3分の1、未熟練労働者では5分の1に過ぎない。また、将来的に東欧自動車市場の成長が見込まれることも動機となったようだ。
\ジュール工場はVWグループの主要なエンジン製造拠点で、年間138万基を生産する。また、スポーツカー「TT」と、小型乗用車「A3カブリオレ」を組み立てている。
\『アウトモビールヴォッヘ』によると、アウディは6月28日、195ヘクタールの工場用地取得でジュール市当局と契約を交わした。買収額はおよそ2,300万ユーロ。ジュール工場の面積は現在の175ヘクタールから倍増することになる。
\ハンガリーではアウディのほか、ダイムラーや、自動車部品大手のボッシュが大型投資を実施中。ダイムラーは南部ケチケメートに8億ユーロを投じて工場を建設している。来年末からメルセデス「Aクラス」と「Bクラス」を製造する予定だ。
\ボッシュは既存の4工場を拡充し、人員を6,000人から7,000人に強化する。将来的に研究開発拠点の設立も検討している。
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