2010/9/1

ポーランド

ポーランド通信市場、高速データ通信に期待

この記事の要約

ポーランド電気通信庁(UKE)が先ごろ発表した市場リポートによると、今年の国内電気通信市場の成長は昨年に引き続き小幅にとどまる見通しだ。今後の伸びが期待されるのは移動・固定通信分野ともに高速データ通信で、業界各社とも投資 […]

ポーランド電気通信庁(UKE)が先ごろ発表した市場リポートによると、今年の国内電気通信市場の成長は昨年に引き続き小幅にとどまる見通しだ。今後の伸びが期待されるのは移動・固定通信分野ともに高速データ通信で、業界各社とも投資に力を入れている。

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移動通信市場では、回線の高速化が進んでいる。移動通信3位のPolska Telefonia Cyfrowa(PTC)と固定電話2位のNetiaはWiMax規格を、移動通信最大手のPTK Centertelと同2位のPolkomtelはCDMA規格を採用した。

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モバイルネットユーザー数は1年間で210万人強に倍増したが、人口普及率は約5%にとどまっている。このため、業界各社は市場成長を見込んで、HSPA+規格通信網の整備も急いでおり、インフラ設備の業界売上高は今年、11%の成長が見込まれる。

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LTE規格については来年、2つの周波数帯について入札が実施される予定だ。PTK CentertelとP4は共同応札の方針を明らかにしている。

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移動通信事業者が、通信網の高速化を予定していることで、ハードウエアメーカーも需要拡大を見込んでいる。特に、運輸、行政などの分野で予定される政府公共調達に期待がかかる。具体的には、◇3.5トン以上の自動車を対象とした電子高速料金徴収システム◇交通管制システム及び音声ナビゲーション・インフォメーションシステム◇警察向けデジタル通信システム――などが対象となる。

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もうひとつの成長市場として注目されているのが固定高速データ通信だ。2009年の時点でブロードバンド回線加入者数は520万人と、人口普及率は14%弱にとどまっている。xDSL回線加入者数は280万人だった。ブロードバンド通信の普及が低調な理由としては、東部を中心にインフラの整備が遅れていることがある。政府は欧州連合(EU)の補助金を利用して3億ズロチ規模の投資プロジェクトを実施し、ブロードバンド網を整備する考えだ。

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移動通信網事業者の売上高は昨年、2~3%縮小し、史上初の減少を記録した。EUの指針に従い、昨年7月からローミング料金が50%引き下げられたことが理由だ。今年6月末現在の携帯電話加入者数は4,513万人で、昨年末から0.7%増加した。契約形態では約70%がプリペイド方式を選んでいる。

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一方、固定通信市場は、IP電話(VoIP)の利用拡大や、ケーブルテレビ(CATV)事業者によるインターネット接続サービス普及などにより、後退を強いられている。市場シェアをみると、仏テレコム子会社のTelekomunikacja Polska(TP)が依然として圧倒的に強い。Netia、Telefonica Dialogといった他の事業者を合わせたシェアは約29%に過ぎない。

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TPは、大口顧客と一般顧客に事業を分割することを迫られていたが、(1)ブロードバンド回線整備(2)音声通信およびインターネットサービスの個別契約の提供――を条件に、現状維持が認められた。(1)については具体的に、今後3年で50万本のブロードバンド回線を新設し、既存70万回線についても容量を拡大する。このうち、100万回線については最低でも6メガビット秒(Mbps)の通信速度を確保する。

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インターネットサービスの契約者数は560万~610万人と推測されている。このうち、70万~100万人がイーサーネット(LAN)を通じて接続している。

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