2010/9/1

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

西バルカン諸国、鉄道インフラ整備に共同着手

この記事の要約

欧州連合(EU)が中東欧の運輸インフラ整備構想のひとつとして設定した汎欧州鉄道ルート「コリドーX号線」の本格整備に向けて、西バルカン諸国が動き出す。ドイツ貿易・投資振興機関(gtai)が18日明らかにしたところによると、 […]

欧州連合(EU)が中東欧の運輸インフラ整備構想のひとつとして設定した汎欧州鉄道ルート「コリドーX号線」の本格整備に向けて、西バルカン諸国が動き出す。ドイツ貿易・投資振興機関(gtai)が18日明らかにしたところによると、X号線が通るクロアチア、スロベニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナの各国鉄は7月末、貨物輸送の効率化を目指し、提携を強化することで合意した。インフラ整備を行う合弁会社を設立し、共同でプロジェクトを推進する。

\

計画の目玉は、クロアチアの首都ザグレブでの物流ターミナル新設だ。ザグレブはX号線の近くに空港や高速道路があり、国内最大の貿易港リエカへの貨物線にも乗り入れできるなど、利便性が高い。現地メディアによると、投資額は推定2億5,000万ユーロ。現地で大規模に事業展開するオーストリアのカーゴセンター・グラーツのほか、地元のHZカーゴ、リエカ港湾会社、運輸業者が資本参加する。

\

X号線はオーストリアのザルツブルクとギリシャのテッサロニキを結び、全長2,360キロに及ぶ。路線に含まれる主な都市としては、リュブリャナ(スロベニア)、ザグレブ(クロアチア)、ベオグラード(セルビア)、ニシュ(セルビア)、スコピエ(マケドニア)、ヴェレス(マケドニア)がある。イスタンブールやアドリア海への路線にも連係する有益な運輸ルートだが、国境検査の煩雑さや路線の老朽化により低速走行を強いられている。結果として、スロベニアの首都ルブリャナからイスタンブールまで57時間もかかるなど、利便性が低くなっている。このため、ドイツ~トルコ間の貨物輸送の9割にドレスデンとイスタンブールをつなぐIV号線が使われている。インフラ更新には推定200億ユーロの投資が必要とされ、EU補助金が重要な原資となるとみられる。

\
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |