天然ガス世界最大手であるガスプロムのメドベージェフ社長はこのほど、ガス価格が今後、急激に上昇するとの見通しを明らかにした。2012年には金融危機前の水準に戻り、現在の相場のほぼ2倍に高騰するとみている。25日付のドイツ版『ファイナンシャル・タイムズ』紙が伝えた。
\天然ガスは、◇化石燃料のうち環境への負担が最も小さい◇臨機応変に出力を調整でき、風力発電と組み合わせて使える――ことなどから、今後も需要が増えると予想される。ガスプロムは、この需要拡大を追い風に市場シェアを拡大し、2020年の欧州シェアで30%を達成する目標だ。現在のシェアは約25%。
\ガスプロムは景気後退による需要低下と、米国を中心としたシェールガスの台頭で、価格支配力を喪失した。競合のスタットオイル(ノルウェー)がガス生産量の最大30%について、市場相場での販売を受け入れたこともあり、値下げを求める需要家の圧力が高まっている。メドベージェフ社長は、価格が大きな変動にさらされないのが長期契約の利点とし、現時点では従来通り、長期契約での供給を維持したい考えを示している。
\欧州エネルギー取引所(EEX)によると、ガスのスポット取引価格(メガワット時あたり)は08年夏の30ユーロから、1年後には10ユーロを割り込む水準まで低下した。09年秋から再び上昇に転じ、現在17~18ユーロまで戻している。
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