中東欧金融業界の不調が続いている。金融危機による影響で不良債権が急増し、各行の財務を圧迫しているためだ。債権の回収不能額は来年3月までに頂点に達し、その後減少に転じると予想されている。オーストリアの経済紙『ヴィルトシャフツブラット』が報じた。
\地域による差も顕著になっている。オーストリアの大手銀行エルステによると、ハンガリーを除く中欧諸国や、ロシアをはじめとする独立国家共同体(CIS)で景気回復が本格化する一方、南東欧はエンジンのかかりが鈍い。ただ、金融危機の影響が波及したのも中欧とCISのほうが南東欧よりも早く、世界経済との結びつき方に差があることが一因と言えそうだ。
\中東欧・CISで事業を展開する欧州の銀行にとって、同地域はまだ心配の種だ。ドイツの大手州立銀行であるバイエルンLBは、ハンガリー子会社MKBでの不良債権処理が響き、2010年1-6月期の引当金繰入額が3億9,200万ユーロにも上った。エルステも、ルーマニアとハンガリーを中心に不良債権が増加して4-6月期の業績の足を引っ張った。ハンガリーのOTPは4-6月期、引当金繰入額が過去最大となったほか、業績不振のモンテネグロ子会社ののれん償却が重荷となり、前年同期比で35%の減益に甘んじた。
\一方で、中東欧・CIS事業に特化したオーストリアのライフアイゼン・インターナショナル(RI)は、4-6月期に大幅増益を達成した。同行が強いロシア、ウクライナ事業が好調だったことが主因だ。チェコ、ロシア、セルビア、コソボでは不良債権の増加スピードが大きく鈍り、他国でも減速する傾向が認められたという。
\不良債権の増減には景気に加え、為替相場の影響もある。クレディ・アグリコール傘下のショヴロー証券によると、外貨建てローンが多く組まれたハンガリー、ポーランド、ルーマニアは、4-6月期に自国通貨安が進み、結果として債務が払えなくなるケースが多発した。
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