欧州の中央部に位置するポーランドは、西欧と東欧を結ぶ交通の要衝として重要な役割を果たしている。しかし、その交通インフラは貧弱であり、特に道路事情の悪さは大きな問題となっている。2012年にサッカー欧州選手権(ユーロ2012)を控え、政府は交通インフラの拡充を最優先課題に掲げており、高速道路や鉄道網、空港の整備を急いでいる。
\スイスの物流コンサルティング会社プログトランスによると、ポーランドの貨物輸送量は今後10年間に年10%の割合で増加する見通し。同国の高速道路の総延長は今年2月時点で850キロメートルで、さらに350キロメートルの高速道の建設が決定している。今後は高速道以外の幹線道路やバイパス道路の建設が増えるとみられる。
\ポーランドの空港は国内・国際輸送網との接続が悪く、様々な輸送手段を組み合わせることで輸送効率化を図る複合一貫輸送(インターモーダル輸送)の機会が乏しい。貨物の積み替え・保管費用も高く、評価が低い。09年の航空貨物取扱量は前年比16%減の7万トンに減少した。国内主要空港は、利便性向上を目指して設備のグレードアップ計画を進めており、ワルシャワ空港が老朽化したターミナルの改修や滑走路の拡張を計画しているほか、ウッジ空港が新ターミナルの建設を予定している。また、クラクフ、カトビツェ、グダンスク、シチェチンの各空港でもターミナルや滑走路の拡充工事が計画されている。空港問題に詳しい専門家によると、15年までに国内空港の改修・拡張に投入される費用は12億ユーロに上る見通しだ。
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