ロシアが穀物禁輸措置を来秋まで延長する。輸出業者が解禁後の国外出荷をにらんで穀物在庫を保管し続けることを防ぎ、国内における流通を保証する狙い。穀物輸出大国のロシアからの市場供給が滞ることで、国際市場での価格高騰が懸念される。
\プーチン首相は2日の政府幹部会議で「輸出解禁を議論できるのは、来年の収穫高が確定してから」と述べ、少なくとも来年秋まで禁輸措置を維持する姿勢を示した。不作で食品価格が高騰するなか、期間延長で輸出業者に穀物在庫の放出を促す目的だ。もうひとつの問題である国内輸送ルートの確保では、メドベージェフ大統領が穀物輸送を支援する方策として、国鉄に対し輸送価格の半減を命じている。
\ロシアでの食品価格は上昇が続いている。ソバは1ヶ月で30%も値上がりし、小麦粉も11%高くなった。今後収穫が本格化するジャガイモや果実類も大幅な減作が予想され、輸入需要が拡大すると見込まれる。
\国連食糧農業機関(FAO)はすでに先月31日、小麦高騰を背景に8月の国際食料価格が前月比で5%上昇したと報告。アブドレザ・アバシアン穀物担当アナリストは、今回の禁輸措置延長について「ロシアの輸出が2年連続でストップすることは、深刻に考慮しなければならない問題」とし、市場への影響を懸念している。
\ロシアは過去数年で世界第4位の小麦輸出国に成長。昨年は9,700万トンを収穫し、うち1,800万トンを国外に出荷した。今年の収穫高は6,000万~6,500万トンと推定され、国内消費量の7,800万トンを確保するため、政府は備蓄を取り崩す必要に迫られている。
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