アルミニウム生産の世界最大手ルサールが8月30日発表した2010年4-6月期決算は、最終損益が前年同期の2億3,000万米ドルの赤字から、10億2,000万ドルの黒字に転換した。世界的な需要回復によるアルミ価格高騰を追い風に、売上高は前年同月比51%増の30億ドルに達した。販売コストを4.8%の増加に抑えることに成功し、大幅な業績改善を達成した。
\1-6月期の純益でも12億7,000万ドルを確保し、前年同期の8億6,800万ドルの赤字から大きく改善した。同期、ロンドン金属取引所における平均アルミ価格(1トンあたり)は1年前の1,422ドルから2,130ドルに高騰。このため、粗利率が前年同期の8%から34%に急拡大した。
\1-6月期の生産高は1%増の200万トン。4-6月期は前期比5%増となり、通年目標である3%の増産に向けて生産拡大を加速させている。
\ルサールの予測では、今年の国内需要は前年を50%上回り、来年も機械製造業や建設業を中心に30%増加する。また、世界のアルミ在庫量は年末までに5%減り、来年も減少が続くとみられており、国外需要も堅調に推移しそうだ。主要生産国のひとつである中国では電力価格の高騰などで製造コストが上昇し、採算がとれない工場が操業停止を迫られている。これにより、アルミ生産量が年間で100~150万トン減少する観測だ。ロシアの低い電力価格のおかげで競争力が高まったルサールにとって、今後の事業展開に有利な環境になっている。
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