ロシアを迂回してカスピ海周辺の天然ガスを欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」プロジェクトが一歩前進した。ナブッコ企業連合は6日、欧州投資銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)および国際金融公社(IFC)との間で、融資条件を定める「マンデート・レター」を取り交わしたと発表した。融資総額は40億ユーロ。事業の詳細を検討の上、実施に移される。これにより、推定79億ユーロのプロジェクト費用の約半分を確保できる見通しだ。
\ナブッコはロシアへのガス供給依存脱却に向けて欧州連合(EU)が後押しする大規模なプロジェクトだ。当初予定よりも計画が遅れており、企業連合はこのほど、着工が早くて2012年、稼働は15年にずれこむとの見通しを明らかにした。
\ナブッコ実現に向けた次の難関はガス供給国との具体交渉だ。企業連合はアゼルバイジャン、イラク、トルクメニスタンからガスを調達する方針を明らかにしている。プロジェクトの採算性を確保するには、アゼルバイジャンのシャフ・デニズ鉱区におけるガス生産量の拡大が必須とみられており、この点を含めた交渉の成り行きに注目される。
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