2010/10/20

ロシア

ガスプロム、サウス・ストリーム推進でブルガリアと合意

この記事の要約

ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムは15日、ガスパイプライン「サウス・ストリーム」の建設計画をスピードアップすることでブルガリア政府と合意した。ブルガリア国内区間の建設について早期に実行可能性調査を行うことや、ガスプロム […]

ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムは15日、ガスパイプライン「サウス・ストリーム」の建設計画をスピードアップすることでブルガリア政府と合意した。ブルガリア国内区間の建設について早期に実行可能性調査を行うことや、ガスプロムとブルガリアの国営エネルギー持ち株会社「ブルガリアン・エナジー・ホールディングス(BEH)」が事業推進のための合弁会社を11月に折半出資で設立することを取り決めた。ガスプロムのアレクセイ・ミラー最高経営責任者(CEO)によると、合意文書への調印は来週、行われる見通しだ。

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サウス・ストリームはガスプロムとイタリア最大の石油会社エニが主導するプロジェクト。仏電力公社EDFの参加も決まっている。ウクライナを迂回して黒海経由でロシアと欧州と結び、ブルガリアから先はギリシャや南イタリアに向かう南ルートと、北イタリアに向う北ルートに分かれる。ロシア産ガスの輸送でトラブルを繰り返すウクライナを経由せずに欧州向けの輸出を拡大するのがロシア側の狙い。2013年に着工し、15年末に輸送を開始する予定で、最終的には年630億立方メートルの天然ガスを輸送できる。総工費は260億ドル。ブルガリアを通過するルートの敷設コストは8億3,500万ドルに上る。

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ガスプロムはブルガリアとの合意前の13日にもルーマニアとの間でサウス・ストリームが同国を通過する可能性について基本合意した。背景には同国とブルガリアを競合させ、ブルガリアに迅速な対応を迫る狙いがあったもようだ。

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ブルガリアとルーマニアは共にサウス・ストリームの競合プロジェクトである「ナブッコ・パイプライン」計画にも参加している。オーストリアの石油ガス大手OMVが幹事を務め、欧州企業6社が共同で進める同計画はロシアを迂回してカスピ海周辺の天然ガスを欧州に運ぶもので、ロシアへのガス依存を減らすことが目的。ただ、ブルガリアはガス需要の大半をロシアに依存しており、来年6月にはロシアとのガス供給契約の更新を控えている。

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