2010/11/3

ロシア

ロシア、北極海ルートの利用拡大か

この記事の要約

ロシアがアジア・太平洋諸国に向けた原料の輸送に、今後、北極海ルートを活発に利用する可能性がでてきた。今年夏、ロシアから東南アジアの仕向け先に原油を輸送するタンカー3隻が、白海からベーリング海峡を抜ける北方ルートを走破した […]

ロシアがアジア・太平洋諸国に向けた原料の輸送に、今後、北極海ルートを活発に利用する可能性がでてきた。今年夏、ロシアから東南アジアの仕向け先に原油を輸送するタンカー3隻が、白海からベーリング海峡を抜ける北方ルートを走破した。タンカーを先導したロシアの氷砕船『Rossija』のシュチャピン船長によると、来年は少なくとも6隻がこのルートを利用する予定という。

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北極海ルートは海氷が溶ける夏の数週間しか航行できず、欧州とアジアを結ぶ海運ルートとしては事実上利用できなかったが、昨年ドイツの海運大手ベルーガの貨物船2隻が初めて通過した。北極海ルートの行程はスエズ運河を経由する南方ルートのわずか4分の1という5,500キロメートル。シュチャピン船長によると航海日数を15~20日も短縮できる。航行時間の短縮で燃料コストの大幅削減も可能になるため、効率化と環境性という点で非常に大きな利点がある。

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北方ルートへの関心が高まっている背景には、地球温暖化で海氷が溶けやすく航行しやすくなったことに加えて、ソマリア海域で商業船を狙う海賊が横行し、南方ルートの航行リスクが高まっていることの影響もある。

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