中東欧の買収・合併(M&A)市場が急速に回復している。オーストリアの大手銀行ライフアイゼンバンク傘下の投資会社、ライフアイゼン・インベストメントによると、2010年の取引総額は前年比50%増の650億ユーロに拡大する見通しだ。
\中東欧のM&A市場は金融危機の影響で大きく落ち込み、09年の取引総額は430億ユーロと、過去最高だった07年の1,543億ユーロの4分の1近くに縮小した。今年は景気が回復基調にあることに加え、各国政府は国営企業の民営化を積極的に推進していることで大型のM&A案件が増加しており、現在までの取引件数は564件、取引総額は595億ユーロと、すでに09年通年の取引規模を上回っている。
\ライフアイゼン・インベストメントのアナリスト、ハインツ・ゼルネッツ氏は、「政府が財政赤字の削減ため資産も売却を進めていることや、90年代に起業して成功した大物実業家が相次いで事業を売りに出していることが、M&A拡大の背景にある」と説明する。
\11年の中東欧地域の経済成長率は3.2%と予測されており、米国(1.4%)、ユーロ圏(1.2%)の倍以上となっている一方で、企業のバリュエーションは景気後退の余波で依然として割安となっていることが、同地域でのM&Aが活発化につながっていると分析する。
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