国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)の欧州委員会は1日、金融危機で大きな打撃を受けたルーマニアへの追加金融支援の実施に前向きの方針を示した。一定の条件が満たされれば、第4弾として来年の1月半ばにIMFが8億7,000万ユーロ、EUが12億ユーロの融資を実行する予定だ。
\IMFとEUは昨年2月、世界銀行と欧州復興開発銀行(EBRD)の協力を得て、リーマン・ショック後の金融危機に見舞われたルーマニアに対し総額200億ユーロの金融支援を決めた。ルーマニアが財政改善を進めることを実施条件とし、これまでにIMFが116億ユーロ、EUが36億5,000万ユーロを融資した。
\第4弾融資実施の可否を調べるため、IMFと欧州委、世銀の代表で構成する視察団は10月半ばからルーマニアを訪問。2週間にわたり、財政改革の進捗状況と追加融資の実施条件となる歳出削減の進み具合を調査した。視察団はこの結果、◇財政赤字を国内総生産(GDP)比4.4%以内に抑えることを盛り込んだ2011年予算の採択◇年金法の改革――といった歳出削減策の進展を条件に、追加融資を実施するとの意向を表明した。
\IMFのジェフリー・フランクス代表は、ルーマニア政府が6月に決定した公務員給与の25%削減や付加価値税の引き上げ(19%から24%に)を高く評価。一方、「ルーマニアには安定が必要」「頻繁に税制が変わるのは生産的でない」として、今後2年は税制を変更すべきでないと指導した。
\ルーマニアがIMFと締結した融資契約は来年4月に期限を迎える。政府は新たに「予防的クレジットライン(PCL)」という形で融資を受けることを計画しており、年明けからIMFとの交渉を開始する方針だ。
\