ロシアの肥料メーカーPhosAgroが、カナダの競合で世界最大手のポタシュの買収に向けて、政府に支援を要請していたことが明らかになった。ブルームバーグ通信が3日付でロシア経済紙『ベドモスチ』の報道として伝えた。
\豪英系鉱山会社BHPビリトンによるポタシュの敵対的買収への動きをめぐっては、インド、中国などの企業がこれに対抗する提案を検討しているとの憶測が流れていた。しかし、ロシア企業は話題となっておらず、今回の報道は驚きをもって受け止められた。カナダ政府は4日、BHPビリトンの計画の承認を拒否する決定を下しており、ロシア企業が政府を後ろ盾にして買収合戦に加わるとすれば、状況がさらに複雑になりそうだ。ただ、企業規模に歴然とした差があり、業界専門家は実行性は皆無と分析している。
\窒素肥料3位のAcronによると、ロシア政府はPhosAgroの要請を受けて1日、国内の大手肥料会社に共同買収の意向を打診した。国内肥料メーカーは、世界的な肥料需要の高まりに対応するため、提携を通じた増産を模索しており、PhosAgroはポタシュ買収でカリ肥料大手のSilvinit及びUralkaliと組む意向のようだ。
\資金調達についてPhosAgroのリトヴィネンコ社長は、プーチン首相に宛てた10月20日付の書簡で、カナダの銀行から買収資金の半分について融資の約束を取り付け、残る半分もロシアの銀行の融資を受けられる予定と記している。買収に限らず、株式の購入という選択肢も視野に入れているようだ。
\ポタシュの買収はロシアにとって、肥料業界にとどまらない戦略的要素を含んでいる。BHPビリトンがノリリスク・ニッケルやルサール、セベルスタリなどのロシア金属メーカーと激しい価格競争を繰り広げているためだ。
\ただ、買収の実行性についてロシア大手投資銀行のトロイカ・ディアローグは、「PhosAgroの時価は70億~90億ドルと、ポタシュの431億ドルに比べて歴然とした差がある。Uralkali、Silvinitと組んだとしても時価の合計は250億~300億ドルで実現の可能性は微々たるもの」と分析している。BHPビリトンによる提示額は390億ドルだった。
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