中東欧経済の回復が、ドイツ経済にけん引され、予想より速いペースで進んでいる。チェコとハンガリーの今年第3四半期(7-9月期)の国内総生産(GDP)は、最大の輸出先であるドイツの景気が堅調なことを受けて、前年同期からそれぞれ3%、1.6%増加。ブルームバークの予想値(2.5%、1.2%)を上回った。スロバキアは3.7%増。エストニアは北欧向け輸出が好調で4.7%増となり、07年第4四半期以来の高い伸びを記録した。ラトビアは2.7%増と2008年の金融危機後初めて上昇に転じた。一方、ルーマニアは政府が進める財政緊縮策が響き、内需が後退。第3四半期GDPはマイナス2.3%となり、中東欧諸国の中で唯一減速した。
\ドイツ経済の成長率は第2四半期に前期比2.3%に達し、東西ドイツ統一後の最高を記録した。第3四半期のGDPは前期比0.7%増と、前期に比べ成長が鈍化したものの、6四半期連続で拡大。ドイツ経済を頼りとする中東欧諸国の景気回復に貢献した。
\ \チェコとハンガリー、外需が後押し
\ \チェコの第3四半期GDPは、第1、第2四半期を上回るペースで拡大。前年同期比3%増、前期比1.1%増となった。GDPの約7割が輸出であり、堅調なドイツ経済が大きく寄与した格好。9月の貿易黒字は前月の7億6,500コルナから124億コルナに急増した。ただ、製造業や貿易が好調な半面、固定資産投資やサービス産業はまだ低迷している。
\ハンガリーは外需に加え、内需の回復が経済成長に寄与し、前年同期比1.6%増、前期比で0.8%増加した。Takarekbankのアナリストは「7月に41カ月連続で減少していた小売売上高がプラスに転じた」として、第4四半期のGDP成長率が第3四半期を上回る可能性も示唆した。
\ハンガリー政府は、今年のGDP成長率を0.8%増と予想。2014年までに5%増を目指す方針だ。国際通貨基金(IMF)は、今年は1%前後、来年は2.5%の成長を見込んでいる。ただ、
\公務員削減やエネルギー、金融、通信、小売企業向けの特別税導入など財政赤字削減措置で投資が縮小し、目標達成が困難になる恐れもある。また、ユーロ圏16カ国の第3四半期GDPは5期連続でプラス成長になったものの、前期に比べ失速しており、国内製品の6割をユーロ圏に輸出するハンガリーは、成長維持のため、さらに内需を強化する必要がある。
\ \ルーマニア、内需後退と緊縮財政でマイナス成長に
\ \金融危機でIMFと欧州連合(EU)から200億ユーロの緊急融資を取り付けたルーマニア政府は今年7月、融資条件を満たすため、付加価値税の5%引き上げと公務員給与の25%削減を実施した。この結果、内需が後退し、第3四半期GDPは前年同期比2.3%のマイナス成長となった。第2四半期は前期比0.3%増と07年第4四半期後初めて上昇に転じたが、第3四半期は再び同0.7%減少した。
\IMFは、今年のGDPを前年比2%減と予想。昨年の7.1%減からは大きく改善するものの、内需回復の遅れからマイナス成長が続くとしている。ただ、来年は1.5%のプラス成長を見込んでいる。
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