チェコ下院は8日、太陽光発電に対する課税などを柱とした法案を可決した。再生可能エネルギーの急拡大に歯止めをかけ、電気料金の上昇を抑えるのが狙い。
\同法案は3年間の時限立法で、太陽光発電による電力に26%課税する。09年と10年に稼動を開始した発電施設が対象。ただ、建物の屋根と壁に設置された発電設備で、出力が30キロワット以下のものは対象外となる。同法案にはこのほか、温室効果ガスの削減に取り組む企業に付与される炭素クレジットに対して32%を課税するほか、農業用地に太陽光発電プラントの手数料を引き上げることなどが盛り込まれている。
\チェコでは手厚い補助制度を背景に太陽光発電が急成長しており、昨年は新規設置容量でドイツ、イタリアに次ぐ欧州3位に浮上した。ただ、太陽光発電の増加に伴い政府の負担も増大しており、産業貿易省のまとめによると、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの補助負担金支出は昨年の30億8,000万コルナから今年は77億6,000万コルナに上る見込み。この増加分は最終的に電気料金の引き上げという形で消費者に転嫁されるため、来年の電気料金は世帯向けで10%、法人向けで20%上昇すると予測されている。
\ネチャス首相は法案が下院を通過したことを受け、「来年の電気料金の上昇は5.5%以下に抑えられるだろう」とコメントした。政府の試算によると、太陽光発電からは42億コルナ、炭素クレジットは12億コルナの税収がそれぞれ見込まれ、太陽光発電プラントからは17億コルナの建設手数料が見込まれる。同法案は上院と大統領の承認を経て施行される。
\エネルギー規制局(ERU)のまとめによると、国内に設置されたソーラー発電施設は1万1,331件。10年末に設置容量は1,600MWを突破すると見られている。なお、ERUは8日、太陽光発電からの買い取り価格を、現行の1MW時当たり1万2,150コルナから来年1月以降は5,500コルナに引き下げると発表した。(1CZK=4.59JPY)
\