三菱重工と双日が、中国化学工程集団公司(CNCEC)と共同で、ロシア連邦タタルスタン共和国の政府系事業会社Ammoniから尿素肥料プラントの建設を受注した。受注総額は10億米ドル強で、13日に契約に調印する予定だ。
\三菱重工の発表によると、今回の尿素肥料プラントは、モスクワ東方約1,000kmに位置するタタルスタン共和国のメンデレエフ市に建設される。天然ガスを原材料として、アンモニアとメタノールを同時に生産することが可能で、併産タイプとしては世界最大級となる。製造能力はアンモニア単独で日産2,050トン、併産で同 1,382トン、メタノール668トン。ハルダー・トプソ(デンマーク)、サイペム(イタリア)、ウーデ・ファーティライザー・テクノロジー(オランダ) の化学プロセス技術を採用する。2015年に稼動する予定。年間で推定8億立方メートルの天然ガスを肥料に加工する。
\今回の受注は、基本・詳細設計、機器調達、建設工事を含むEPC(設備一括請負)契約。このうち、三菱重工業はコンソーシアムのリー ダーとして基本・詳細設計、機器調達、据付・試運転指導員派遣を手掛け、双日はロシアでのビジネス実績を生かして関係者間の調整や輸送業務などを担当する。CNCECは建設工事を受け持つ。
\Ammoniはロシア政府系金融機関の対外経済銀行(VEB)とタタルスタン政府がそれぞれ68.5%、31.5%を出資する合弁企業。今回のプロジェクト遂行を目的として2006年に設立された。プラント建設費のほぼ全額をVEBが支出する予定だ。
\民間大手銀行のアルファバンクによると、肥料産業は非常に有望な産業部門といえる。アンモニアなど窒素肥料の価格は年初来で30~40%も上昇した。ロシアの干ばつを受けて他の地域が増産態勢に入ったことや、景気回復が需要を伸ばしている。
\ロシアでは事情がやや異なり、短期的には肥料需要が縮小するもようだ。干ばつの影響で来年の耕作面積が10~15%減少する見通しであることが背景にある。それでも、肥料価格はインフレ率をやや上回るスピードで上昇すると予想される。
\ロシアでも長期的には肥料需要の拡大が見込まれている。これを見越して、産業持ち株会社のロステクノロジーはムルマンスクの肥料工場及びリン酸肥料メーカーApatitに出資する方向だ。
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