2010/11/24

総合・マクロ

中東欧の今年のGDP、前年比 1.4%増に =WIIW予想

この記事の要約

ウィーン経済研究所(WIIW)はこのほど、欧州連合(EU)に加盟する中東欧10カ国(EU-10)の夏以降の景気回復基調を受け、同地域の今年の国内総生産(GDP)予想成長率を今夏の予想からわずかながら上方修正した。ただ、E […]

ウィーン経済研究所(WIIW)はこのほど、欧州連合(EU)に加盟する中東欧10カ国(EU-10)の夏以降の景気回復基調を受け、同地域の今年の国内総生産(GDP)予想成長率を今夏の予想からわずかながら上方修正した。ただ、EU-10の成長率は今年初めて、EU27カ国全体(EU-27)の成長率を下回る見通し。また、長期的観点からみれば、中東欧経済は金融・経済危機で大きく後退しており、今年のGDPが05年の水準を下回る国も少なくない。危機前の成長を取り戻すにはまだ時間がかかるという。

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WIIWによると、EU-10の今年のGDPは前年比で平均1.4%増になる見通し。今夏の1.2%から0.2ポイント上方修正した。ただ、EU-27 の1.8%を下回る。また、公務員給与の削減や付加価値税の引き上げが実施されたルーマニアに関しては唯一、マイナス1%から同2%に下方修正した。

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ロシア・CIS諸国を含む中東欧20カ国のGDP成長率は、今夏と同じプラス1%と予想。来年以降は、2011年が中東欧全体で2.5%増、EU-10で2.7%増、2012年はいずれも3.5%増を見込んでいる。

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GDPの改善が期待できるのは、輸出比率が比較的大きく、ドイツなど西欧の好景気の恩恵を受けることができるブルガリアやスロバキア、チェコ、ハンガリー、トルコなど。特にトルコの今年上半期のGDPは前年同期から10%以上拡大。比較対象の昨年上半期の落ち込み幅が大きかったことも大幅成長の一因だが、トルコ政府は投資拡大に努めており、今後も安定した成長が期待できるという。

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ウクライナやバルト3国も昨年、大幅なマイナス成長を記録した分、今年の回復幅は大きくなりそうだ。ウクライナの今年のGDP成長率は昨年のマイナス15.1%からプラス4.5%に改善する見通し。

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ただ、失業率はEU-10の中で最も高いラトビアが15%、最低のルーマニアでも8%弱と高いうえ、今後も上昇する恐れがあり、内需回復を遅らせている。特に建設市場はまだ後退に歯止めがかかっていない。個人や企業向け融資も低調で、資金調達は割高な状態が続いている。

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