トルコ政府が研究開発(R&D)の促進に力を入れている。付加価値の高い製品に生産がシフトするにつれて、国内におけるノウハウの蓄積と開発力養成の必要性が高まっているためだ。開発拠点の設置を加速させるため、技術パークの整備や優遇税制の実施といった施策を講じている。トルコにおけるR&D支出は過去数年で大幅に増加したものの、国内総生産(GDP)比でわずか0.7%。韓国やチェコなどに大きく水をあけられている。政府はこの比率を2013年に2%まで引き上げる目標だ。
\施策の柱の一つは、「テクノポリス(Teknokent)」と呼ばれる技術パークだ。開発に必要なインフラを整備してハイテク企業を誘致するとともに、大学・企業間の協力を促進する狙い。例えば、アナトリア地方南部のコンヤ・テクノポリスはセルチュク大学と協力。また、アンカラのハテジェペ大学は独自のテクノポリスを運営し、米製薬大手ファイザーと緊密な提携関係にある。
\技術パーク設置の根拠となっている法律第4691号は、2001年に成立した。以来、国内39カ所に開設され、今秋の時点で26カ所が活動を続けている。
\もう一つの柱は、開発コストに対する優遇税制の適用だ。2009年2月公布のR&D投資促進法に基づき、開発費は100%課税対象から控除される。また、開発スタッフについては、所得税納税額が通常の20%、博士号取得者については10%に割り引かれる。さらに、開発部門の被用者については、社会保険料の雇用者負担分の50%をトルコ首相府財務庁が肩代わりする。諸手続きに必要な印紙税も免除される。
\トルコ通産省によると、同国に研究開発拠点を設けた外国企業数は今年の春までに56社に上った。自動車のメルセデス・ベンツ、フォードや、電機のシーメンス、シュナイダー、食品・日用品のユニリーバなどが名を連ねている。
\国内企業では、電機のArcelik、Vestel、製薬のAbdi Ibrahim、Bilim Ilac、電気通信のTurkcell、Aveaなどが開発部門を強化した。
\産業別のR&D投資額では、自動車産業がダントツの1位。不動産、リース、情報技術(IT)、機械、民生家電がそれに続いた。
\トルコ統計局によると、2008年の開発投資総額に占める民間経済の比率は44.2%。大学は43.8%、公共部門は12%だった。
\地域別の技術パーク数では、イスタンブールが6カ所、アンカラが5カ所と、多くの大学や企業が活動する2大都市が他をリードしている。ただ、成果に着目すると、エスキシェヒル、カイセリ、コンヤといった地方都市も健闘している。
\