ロシア原子力公社(ロスアトム)は19日、インドウラン公社(UCIL)に対して、ロシア連邦サハ共和国におけるウラン鉱山開発事業の権益49%を売却する提案を行った事実を明らかにした。ロスアトムのキリエンコ社長は、現在、UCILが提案を検討している段階としたうえで、少なくとも25%について取引成立を見込んでいると話した。
\対象となっているのは、サハ共和国エルコン鉱床の開発業務だ。ロスアトムのウラン鉱山開発子会社アトムレドメトゾーラタ(ARMZ)が設立したエルコン・マイニングがプロジェクトを遂行する。現在の国内生産量の1.5倍にあたる5,000トンのウランを生産し、金、銀、モリブデンの採掘も手がける計画だ。
\プロジェクト総費用は推定910億ルーブル(30億米ドル)に上る。工期は2012~19年で、2014~16年にパイロット生産を実施し、2017年から本格生産、31年までにフル稼働に移行する。
\ロスアトムは投資負担を和らげるため、長期にわたって同プロジェクトの共同投資者を探してきた。4年前にはポリュス・ゴールド(産金)、ベーシックエレメント(複合企業)、レノヴァ(複合企業)がプロジェクト参加に関心を示したが、その後の経緯は明らかになっていない。
\ARMZはまた、三井物産や、LG商事・韓国電力・大韓鉱業振興公社(鉱振公)の3社から成る韓国企業連合と、プロジェクト協力で意向書(MOU)を交わしている。意向書では外国企業の参加が認められているが、具体的な取り決めはなされていない。計画によると、三井物産が南エルコン鉱区の開発に当たり25%の権益を獲得することになっていたという。
\ARMZの広報担当者は、三井物産に関連するコメントを避けた。ただ、投資家探しは継続しており、いくつかの可能性を検討していると述べた。いずれにしても、ロシア側が権益の過半数を握る予定だ。
\インドとロスアトムの提携は今回が初めてではない。ロシア核燃料製造のTVELはインドの原子力発電所に燃料を供給している。また、ロスアトムはインドで原発2基を建設中だ。
\ロシアの投資銀行トロイカ・ディアローグによると、エルコン鉱床の開発はリスクが大きく、1ポンドあたりのウラン相場が60ドルを超えないと採算が取れない。ただ、インドは大規模なエネルギー計画を推進中で、設置が予定される原発の燃料を確保する狙いからプロジェクトに参加する可能性があるという。
\エルコン鉱床は、オーストラリアのオリンピックダム鉱山に次いで世界で2番目に規模が大きいとみられている。この夏には鉱床の一部を対象にした調査で22万9,800トンの埋蔵が確認された(オーストラリア鉱石埋蔵量合同委員会“JORC”の基準による)。
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