ハンガリー中央銀行(MNB)は29日、政策金利を5.5%へと0.25ポイント引き上げた。経済回復が鈍る懸念はあるものの、インフレ抑制のほうが火急の課題と判断した。近い将来、再利上げを実施する可能性も指摘している。
\MNBが利上げを実施するのは過去2年で初めて。金利水準は過去最低水準の5.25%に引き下げられた今年4月27日以来、変動がなかった。
\MNBはまた、来年のインフレ見通しを4%とし、8月の3.5%から上方修正した。再来年は3.3%を見込む。経済成長予測は来年3.1%、再来年は4%で、それぞれ8月の2.8%、3.4%から引き上げた。今年は1.1%となる見通しだ。
\金融情報サービスの4Castは物価上昇リスクについて、金融企業などに課される業界特別税の顧客転嫁や、国内消費拡大を狙う所得減税の実施で、インフレが大幅に進む可能性を指摘する。
\ハンガリー国債の債務不履行に対する保証コスト(CDS)も上昇傾向にある。年末をめどに民間年金を政府の管理下に移す計画が11月に発表されて以来、同国のリスク評価はさらに悪化。格付け会社のフィッチも、この計画が財政の安定性を損なう危険をはらんでいるとして、同国格下げの検討に入った。
\今回の利上げは、金融緩和を求める政府の立場と真っ向から対立するもので、中央銀行の独立性をめぐる議論に新たな火種を提供しそうだ。昨年5月に発足した中道右派のオルバン政権は、シモル総裁の辞任を要求するなどMNBへの圧力を高めており、最近では総裁の政策理事指名権をはく奪することを提案している。
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