メドベージェフ露大統領が9月に訪中した際に戦略的なパートナーシップの強化で合意したロシアと中国が、温家宝・中国首相のロシア訪問(11月22~24日)を機に、経済関係の拡大を打ち出した。両国はエネルギーや原発、金融分野の計11件のプロジェクトで契約を締結。天然ガス供給交渉では最終的な価格合意には至らなかったものの、国境を接する超大国2国が経済的結びつきを一層強化する姿勢を鮮明にした。
\プーチン露首相によると、両国間の今年1-9月期の貿易額は前年同期比56%増の420億ドルに拡大。通期で500億ドルを超えるのは確実だ。両国は貿易促進のため、ルーブルと人民元の取引を準備中で、11月22日にはまず、中国人民銀行(中銀)から権限を委譲された中国外国為替取引センターが、銀行間外国為替市場で人民元の対ルーブル取引を開始した。12月にはモスクワ銀行間通貨取引所(MICEX)でルーブルの対人民元取引が始まる予定だ。
\エネルギー分野では、9月の合意を基に、「東シベリア太平洋パイプライン(ESPO)」を通じ、1月1日から年間1,500万トンの石油をロシアから中国に供給することや、ロスネフチと中国石油天然ガス集団(CNPC)の合弁会社が、天津に石油精製所を建設することが決まった。原子力分野では、ロシア原子力公社(ロスアトム)が上海の近くにある田湾原子力発電所で、第3・4原子炉を建設する。出力はそれぞれ1,060メガワット。原子炉の設計や設備の供給は江蘇省原子力発電会社が担当する。
\天然ガス取引については、ロシアが2015年から中国に年間300億立方メートルを供給することで合意済みだが、今回の交渉では取引価格の決定は見送られた。中国は西欧向けの価格より安くするよう求めており、双方には1,000立方メートル当たり約100ドルの価格ギャップがあるという。
\また、中国輸出入銀行がロシア国営大手銀行ズベルバンクに20億ドルを融資する案件も間もなく正式に決定する見通しだ。
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