ロシアのプーチン首相はこのほど、医療器材・医薬品産業の近代化に向け、総額1,229億ルーブル(39億米ドル)を支出する方針を明らかにした。これにより、国内企業の市場シェアを伸ばすとともに、輸出を拡大させる目標だ。首相は同時に、外国大手企業に対し、ロシアでの生産を要請。現地生産化が進まない場合には、国内企業を優遇する措置の導入も辞さない構えを示した。
\ロシアは医療器材・医薬品産業への投資を通じ、◇2020年までに必要不可欠な医薬品の国内生産比率を90%、医療器材を50%に拡大する◇輸出を現在の8倍に伸ばす◇輸入への依存を弱めることで、販売価格の安定化と需要の確保を図る――ことを目標としている。業界調査会社Pharmexpertによると、首相が「必要不可欠」とした医薬品は市場全体の47%を占める。
\フリステンコ産業通商相は、「今後10年でロシア医薬品市場が現行の6倍以上に拡大するという予測を顧慮すると、目標達成には医薬品産業が12倍に成長しなければならない計算になる」と指摘。このため、連邦基金による資金支援がぜひとも必要との立場を示している。
\ロシア政府は医薬品産業を石油・天然ガスと並ぶ経済の柱に育てる方針で、外国企業を「国内企業」と認定する条件として、技術移転を含む現地生産化を求めている。外国企業がこれに従わない場合、低所得者への医薬品補助金の支給、輸入関税などを通じて需要を操作する可能性が指摘されている。ロシアは人口1億4,000万人を擁する大きな市場であり、アストラゼネカ、ノバルティス、ノボ・ノルディスク、ニコメッドなどの外国企業は現地生産計画の具体化を迫られそうだ。
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