ロシア財務省は6日、シベリア地方ヤマル半島での液化天然ガス(LNG)プロジェクトに対して鉱物資源採掘税を免除する法案を提出した。同法案が成立すれば、同半島でLNGプロジェクトを計画しているロシア2位のガス会社ノバテクは大きな恩恵を受けることになる。
\財務省が提出した法案は、ヤマル半島があるヤマロ・ネネツ自治管区でLNGプロジェクト向けに採掘される天然ガスについて鉱物資源採掘税を12年間に渡り免除する内容で、2012年1月からの実施を目指す。なお、免税措置は天然ガスの採掘量が2,500億立方メートルを超えた時点で廃止される。
\ノバテクは、ヤマル半島の南タンベイ・ガス田(可採埋蔵量13億立方メートル)で、LNGプラントの建設を計画。16年に稼動を開始し、年間1,500万トンをアジアと欧州に輸出するとしている。実現すれば、天然ガス最大手の政府系ガスプロムが主導するサハリン2に続き、ロシアで2カ所目のLNGプラントとなる。天然ガスの採掘税は来年から1,000立方メートル辺り237ルーブルに引き上げられることが決定しており、免税措置の適用により、ノバテクは590億ルーブルを節減できるという。
\ロシアの天然ガス市場はガスプロムが圧倒的なシェアを誇る。今年の生産量(見込み)は、ガスプロムの5,150億立方メートルに対し、ノバテクは370億~380億立方メートルと遠く及ばない。ただ、ノバテクの生産増加率はガスプロムを上回っており、これまでガスプロムがほぼ独占してきた天然ガス市場で次第に存在感を増しつつある。3日付の墺紙『ディ・プレッセ』は、ノバテクの台頭の背景には、ノバテクの事実上の筆頭株主である業家ゲンナジー・ティムチェンコ氏の存在があると指摘する。保有資産19億米ドルで、フォーブスのロシアの富豪番付で36位につける同氏は、プーチン首相の柔道仲間として親交が深く、有力なロビイストとしても知られる。今回ヤマル半島のプロジェクトでノバテクが優遇措置を受けられることになったのも、ティムチェンコ氏の影響力によるものであるとの見方を示している。(1RUB=2.72JPY)
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