ロシアの買収・合併(M&A)市場が活性化している。9日付ブルームバーグによると、2010年9月末から現在までのM&A取引の総額は338億米ドルと、前年の同じ時期と比べ3倍に急伸した。資金の調達コストが低下していることが追い風となっているようだ。
\ロシアでは、米ペプシコが2日に乳製品・飲料大手ウィン・ビル・ダン(WBD)の株式66%を38億ドルで、ロシア小売最大手X5は6日、スーパーマーケットチェーンを展開するコペイカを515億ルーブル(16億5,000万ドル)でそれぞれ買収すると発表。このほか、ガスプロムが独エネルギー大手エーオンの株式3.5%を、VTBキャピタルは6日、インテロスからロスバンクの19.3%を取得すると明らかにするなど、大型案件が相次いでいる。
\モスクワの法律事務所でパートナーを務めるアンドレイ・ゴルツブラト氏によると、3~5年もののルーブル建てローン金利は1年前の13~15%から8~12%に低下しており、「魅力的な借入れ金利が、M&Aの増加を後押ししている」と指摘する。コメルツバンクのアナリスト、マリーナ・ヴラセンコ氏は、「企業のM&Aに対する意欲は、信用スプレッドの回復と伴って高まっている」と指摘。大企業を中心にバランスシートが改善されたことで債券市場での資金調達が容易になり、大規模案件についても割安に資金を調達が可能になっているとコメントしている。
\JPモルガン・チェースによると、ロシアのドル建て債の利回りは10月に5.26%と2002年5月以来の低水準となった。今年の平均利回りは5.93%と、昨年の10.4%から大きく下落した。ただ、モスクワに本社を構えるM&Aコンサルティング会社エブリのグリゴリー・デュダレフ社長は、「買収資金の調達コストは下がっているものの、恩恵を受けるのは大企業に限られ、中小企業にとっては資金へのアクセスが厳しい状況は変わっていない」としている。
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