2011/1/19

総合・マクロ

東欧経済、今年もドイツがけん引役に

この記事の要約

好調なドイツ経済が今年も東欧経済をけん引する見通しだ。特に輸出が国内総生産(GDP)の6割近くを占め、ドイツ向けの輸出割合が高いチェコやスロバキアは昨年に続き、ドイツ経済を追い風にした成長拡大が期待できるという。13日付 […]

好調なドイツ経済が今年も東欧経済をけん引する見通しだ。特に輸出が国内総生産(GDP)の6割近くを占め、ドイツ向けの輸出割合が高いチェコやスロバキアは昨年に続き、ドイツ経済を追い風にした成長拡大が期待できるという。13日付の独有力紙『ヴェルト』が報じた。

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ドイツ連邦統計局が12日発表した2010年の国内総生産(GDP)は物価調整後の実質ベースで前年比3.6%増(速報値)となり、戦後最悪の成長率(-4.7%)となった09年から大幅に回復した。ドイツ製造業者の子会社やサプライヤーの多いチェコやスロバキアの昨年のGDPも09年のマイナス成長からそれぞれ2.3%、2.4%も幅増加。チェコの昨年の鉱工業生産指数は前年比で約10%上昇した。

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ドイツのGDPは今年も3%近く増加し、経済危機前のGDP水準を超える公算が大きい。賃金上昇や失業者の減少で内需拡大が進めば、東欧地域からの輸入はさらに拡大する。東欧諸国のドイツ向け輸出の割合は、チェコが3割を超えるほか、ポーランド、ハンガリーが25%前後、ルーマニア、スロバキア、スロベニアが約20%に上る。ドイツへの輸出が好調に推移すれば、ドイツ国内と同じように賃金増加と内需拡大という景気サイクルが期待できる。

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ただ、ドイツの好景気は新興国、特に中国の機械・プラントや自動車需要に支えられており、中国需要が冷え込めば、チェコやスロバキアにあるフォルクスワーゲン(VW)の工場や部品サプライヤーの生産も落ち込むことが予想される。また、ハンガリーは輸出の6割をドイツ向けが占めるが、財政赤字削減のための緊縮財政が景気回復の足かせになりそうだ。

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