昨年4月にロシア西部スモレンスクで起きたポーランド大統領機墜落事故について調査に当たっていたロシアの航空委員会(MAK)は12日、悪天候にも関わらず着陸を強行しようとしたパイロットの人為的ミスが原因とする最終結果を発表した。これに対するポーランド国内の反発は強く、事故の悲劇を機に歩み寄りの姿勢を見せていた両国の関係に微妙な影を落としている。
\MAKによると、大統領機に技術的問題は見つからなかった。一方、主操縦士は、天候不良時の着陸を想定した定期テストを受けておらず、実務でも5カ月以上前に経験したのが最後だった。また、コックピットに外務省儀典長や、飲酒した空軍司令官が居合わせていたこと、着陸地を変更すれば大統領の機嫌を損ねると予想できたことで、操縦士らは心理的圧力にさらされた。これが原因となり、管制官が重ねて注意を呼びかけたにも関わらず、何が何でもスモレンスクに着陸しなくてはならないという判断につながった。
\操縦士の人為ミスを唯一の原因と特定する調査結果に対し、ポーランド側は反発を強めている。トゥスク首相は休暇中のイタリアから予定を繰り上げて帰国。ロシア航空管制官のミスや空港施設の不備がなかったかどうかが検討されていないとして、調査レポートは「不完全」であると指摘した。真相解明に向けた両国の話し合いがまとまらなければ、国際民間航空機関(ICAO)に調査を依頼することも辞さない構えだ。また、クリフ事故調査委員長は、10月のMAK中間報告に対してポーランドが150項目にわたるコメントや質問を送ったことに触れ、最終報告が早い時期に発表されたことをみれば、これらの点が十分に検討されたとは考えにくいと話した。空軍司令官の飲酒については、ワルシャワの法科学専門家が遺体の腐敗でアルコールが検出された可能性があるとの見解を発表。ポーランド側は血液検査の詳細な資料を求めている。事故で死亡した大統領の双子の兄であるヤロスワフ・カチンスキーPiS党首は、「一方的で証拠がなく、ポーランドへの侮辱」と怒りをあらわにしている。
\ポーランドは、主な原因が操縦士の判断にあったことを認めると同時に、管制官のミスも追及すべきとの立場だ。「天候不良であれば、着陸を禁じることもできたはず」というのがその論拠となっている。
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