ロシア自動車大手のGAZのアンダーソン社長は10日、乗用車の受託生産をめぐる米ゼネラルモーターズ(GM)および独フォルクスワーゲン(VW)との交渉が来月までにまとまるとの見方を示した。具体的には、ニージニー・ノブゴロドにあるGAZ本社工場で、GMの小型車「シボレー・アベオ」を年3万~4万台、VWブランド車を年10万台生産する方向だ。同社は先月にも独ダイムラーと小型商用車と主要部品の共同生産で合意したばかり。工場の余剰能力を活用したいGAZと、現地生産強化をねらう外国メーカーの思惑が一致し、提携交渉が活発化している。
\11月のロシア自動車販売台数は前年同月比で80%増加し、過去2年間で最高を記録した。クドリン財務相によれば、2010年の国内石油生産がソ連崩壊後で最大となるなど、ロシア経済は急速に回復しており、計画より1年早い今年末までに金融危機前のレベルに復活する見通し。自動車市場も大きく伸びており、現地生産化を推進する政府の方針とあいまって、「外国大手メーカーが競って現地生産体制の確立に動いている」(米調査会社IHSオートモーティブ)もようだ。
\GAZは小型トラックとバスで国内トップシェアを握る。乗用車生産は採算割れを理由に昨年10月末で中止した。アンダーソン社長によると、受託生産には、本社工場における5億米ドル規模の投資を回収する狙いがある。(東欧経済ニュース2011年1月5日号「ダイムラー、GAZと共同生産で合意」を参照)
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