2011/2/2

CIS諸国

ウクライナ、穀物輸出割当の廃止を検討

この記事の要約

ウクライナ政府は、現在実施している穀物の輸出割当を段階的に廃止することを検討している。ミコラ・プリシャジニュク農業政策相は1月26日、記者団に明らかにした。\ 政府は昨年10月、干ばつによる生産量の減少を理由に同12月末 […]

ウクライナ政府は、現在実施している穀物の輸出割当を段階的に廃止することを検討している。ミコラ・プリシャジニュク農業政策相は1月26日、記者団に明らかにした。

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政府は昨年10月、干ばつによる生産量の減少を理由に同12月末まで小麦、大麦、トウモロコシなどの穀物の輸出割当を導入することを決定、割当枠を270万2,000トンに設定した。その後、12月に割当枠を150万トン増の420万2千トンに拡大するとともに、輸出割当を今年3月末まで延長すると発表していた。

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プリシャジニュク農業政策相によると、政府は近く割当枠を小麦について100万トン、トウモロコシについては170万トンそれぞれ拡大し、3月末をめどに割当制度を廃止する方向で検討を進めているという。

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世界有数の穀倉地帯を抱えるウクライナやロシア、カザフスタンなど旧ソ連地域は昨年、130年ぶりの深刻な干ばつに見舞われ穀物生産量が激減。ロシア政府は、穀物の輸出を昨年8月から今年7月1日まで禁止している。

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■EBRD、ウクライナ穀物セクターを支援

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欧州復興開発銀行(EBRD)は1月27日、ウクライナの穀物セクター向け支援を強化するため、同国の農業政策省、穀物協会(UGA)、農業連盟(UAC)、農業市場開発研究所と協力することで合意した。規制の効率化や透明化、信用できる長期政策を通して、穀物市場への投資を呼び寄せることが狙いだ。

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今回の合意文書に調印した5機関は、今後、ウクライナの農業規制当局と民間事業者の関係調整に乗り出す。具体的には、収穫前の融資や農産物の規格化、品質証明などで新たな枠組みの導入を目指す。また、民間事業者には穀物の備蓄設備や輸送システムへの投資や生産効率化を目的とした農業経営者との技術協力を求めていく方針だ。

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EBRDによると、ウクライナの潜在的な穀物生産能力は年800万トンに上り、将来的に世界の食糧安保で重要な役割を担うことになるという。同行は昨年だけでも約1億ドルを同国の穀物事業に投資している。

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