2011/2/2

CIS諸国

EUと米国、ベラルーシ強権政府に制裁発動

この記事の要約

欧州連合(EU)は1月31日の外相会議で、ベラルーシに対し制裁を発動した。同国のルカシェンコ大統領および156名の政府高官へのビザ発給を停止したうえ、域内の海外資産を凍結した。同大統領が4選を果たした昨年12月19日の大 […]

欧州連合(EU)は1月31日の外相会議で、ベラルーシに対し制裁を発動した。同国のルカシェンコ大統領および156名の政府高官へのビザ発給を停止したうえ、域内の海外資産を凍結した。同大統領が4選を果たした昨年12月19日の大統領選挙で不正が行われたことや選挙後に野党陣営のリーダーが逮捕されたこと、反対派への弾圧が続いていることに抗議する措置。米国政府も同日、制裁を発動し、政府高官の入国制限を拡大したうえ、ベラルーシ国営石油企業とのビジネス取引を禁止した。米国はベラルーシに政治犯の釈放と言論の自由の保障を求めている。

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一方、ベラルーシ内務省のスポークスマンは欧米の制裁措置を「内政干渉だ」と非難。適切な対抗措置を取ると述べたが、詳細は明らかにしなかった。

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EUはルカシェンコ大統領が3選を決めた2006年にも不正選挙に抗議するため今回と同じような制裁措置発動した。だが、2008年10月には民主化と人権保護の兆しがあったとして制裁の一部を解除。その後、ルカシェンコ大統領はロシアとの関係悪化に伴いEUへの接近を図ったため、EU側も昨年の選挙が公正に行われることを条件にベラルーシに多額の資金援助を約束していたが、今回の選挙で再び裏切られた形だ。

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EUは当初、イタリアなどが、強硬手段は対話を妨げるだけで問題解決にはつながらないと制裁には消極的だった。一方、ドイツなどは早期の制裁発動を主張。ポーランドが求めた経済制裁は、ベラルーシ国民を苦しめる結果になると却下された。

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