2011/3/9

総合・マクロ

中東欧で労働力不足の懸念、独墺労働市場の開放で

この記事の要約

ドイツとオーストリアの労働市場が中東欧の欧州連合(EU)新規加盟国に解放されるのを前に、中東欧諸国で熟練労働力が不足するとの懸念が浮上している。EUのラスロー・アンドル雇用・社会問題委員は先ごろ、特定の分野で労働力不足が […]

ドイツとオーストリアの労働市場が中東欧の欧州連合(EU)新規加盟国に解放されるのを前に、中東欧諸国で熟練労働力が不足するとの懸念が浮上している。EUのラスロー・アンドル雇用・社会問題委員は先ごろ、特定の分野で労働力不足が進んだ場合、労働者を出身国に引き止めるための措置が必要になるとの見方を示した。

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ドイツとオーストリアにおける就労規制撤廃の対象となるのは、2004年5月にEUへ加盟したチェコ、スロバキア、スロベニア、ハンガリー、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの8カ国。医療・保健など特定の分野で人手不足が生じる可能性があるという。

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アンドル委員はまた、受入れ国の労働市場に与える影響が限定的なものとなる見通しを示した。ドイツとオーストリアの失業率が比較的低いことがその理由で、産業部門によっては労働力不足が緩和されるプラス効果もありうる。すでに新規加盟国からの労働力を受け入れているEU加盟国の状況をみると、外国人労働者の流入で賃金水準が下がる懸念もほとんどないという。

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新規加盟国出身者の就労規制は、加盟条約で定められたものだ。以前からのEU加盟国(旧加盟国)は最長7年間、規制を設けることができる。ドイツとオーストリアを除く他の旧加盟国は2004年の新加盟国に対して、すでに労働市場を開放している。ドイツとオーストリアは市場開放に警戒的で、2007年に加盟したルーマニアとブルガリアについても昨年、2013年まで規制措置を延長した。

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