2011/3/16

ロシア

ロシアブランド車の衰退加速、政府の現地生産化策で」

この記事の要約

ロシア政府が推進する国内自動車産業の振興計画で、ロシアブランド車の衰退が加速するのが確実視されている。外国自動車大手の現地生産を大幅に引き上げる政府の方針により、性能が劣る国内メーカーの製品が不利になるためだ。ただ、ロシ […]

ロシア政府が推進する国内自動車産業の振興計画で、ロシアブランド車の衰退が加速するのが確実視されている。外国自動車大手の現地生産を大幅に引き上げる政府の方針により、性能が劣る国内メーカーの製品が不利になるためだ。ただ、ロシアメーカーが生き残るには外国からの技術移転が不可欠なのも確かで、現地メディアも外国メーカーと国内メーカーの提携を促す政策を納得できるものと捉えているもようだ。

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ロシア政府は昨年、外国メーカーの現地生産を促進する目的で、部品輸入に対する関税優遇措置の条件を厳しくする方針を発表した。これによると、今後8年間にわたって優遇措置の適用を受けるには、現地生産台数を3年以内に年30万台へ引き上げなければならない。生産拡大で、部品メーカーがロシアに進出する前提条件を整える狙いだ。同時に、セミノックダウン部品の関税免除期間を1年半に限ることで、部品の現地生産比率を60%以上に拡大させる目標だ。

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先月末の期限までに政府の条件に応じる姿勢を表明したのは、ルノー日産連合、米フォード、独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラルモーターズ(GM)、伊フィアットの自動車5社と、カナダ自動車部品大手マグナの計6社だ。これらのメーカーは、6月1日までに事業計画書を提出することになる。

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これまでに明らかとなっているところでは、ルノー日産は「ラダ」で知られるアフトワズのトリヤッチ工場で小型車を生産する計画だ。フォードはロシア3位のソレルスと合弁会社を設立する。VWとGMは商用車大手GAZの生産ラインで乗用車を製造する。また、経済省のレフチェンコフ氏によると、マグナはGAZが本拠とするニージニー・ノブゴロドか、バルト海沿岸の飛び地領であるカリーニングラードでの生産を検討しているという。

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ロシア自動車販売台数は2009年、金融危機の影響で前年実績の半分に落ち込んだ。政府は国内メーカーを支援するため、新車買い替え奨励策や、新車輸入関税を暫定的に30%へ引き上げるなどの措置を実施した。昨年は前年比30%増の190万台まで市場が回復したが、内訳を見ると、ロシアブランド車、外国ブランドの現地生産車、輸入車が3分の1ずつを占めた。今後は、政府の現産化促進計画や、世界貿易機関(WTO)加盟に伴う新車輸入関税の引き下げなどで外国車の比率が急速に増える見通しだ。

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