ロシア石油最大手、ロスネフチとの提携計画をめぐり、英BPへの風当たりが強まっている。ロシア合弁事業TNK-BPで提携する投資家グループAARが、合弁契約に抵触するとして同計画に真っ向から反対しているためだ。12日のTNK-BP臨時取締役会でも溝は埋まらず、対立が先鋭化。少なくとも、ロンドン調停裁判所が判決を下す数週間後まで、ロスネフチとの提携計画は足踏み状態が続く見通しとなった。
\取締役会では、AARの意見を代表するTNK-BP経営陣と、BPの双方が提案を行ったが、いずれも採択に必要な全員の賛成を得られず廃案となった。経営陣は、BPではなくTNK-BPがロスネフチと提携する形で計画を進めることを求めた。BPは北極海油田探索におけるTNK-BPの権益取得に基本的に同意する一方で、ロスネフチとの株式持合いでは同社の参加を拒否する立場を示した。提携計画で発行を予定する新株をTNK-BPに現金で売却する意思はないとすると同時に、TNK-BPがロスネフチと株式を交換した場合、TNK-BPが背負うリスクが大きすぎると理由を説明した。
\対する経営陣はBP案拒否の理由として、株式持合いの可能性がゼロでは交渉力が弱くなることを挙げた。
\AARとBPはTNK-BPに折半出資している。過去にも経営権をめぐって対立し、AARが勝利した経緯がある。1月に発表されたBPとロスネフチの業務提携計画に対し、AARは2月、提携契約違反を理由に英国高等法院に差し止めを請求。調停裁判所の審理終了まで同計画を凍結することに成功した。
\プーチン首相は当初、BPとロスネフチの提携を支持していた。しかし、AARの強い反発を受けて「TNK-BP株主との争いに発展する可能性は知らされていなかった」と立場を修正している。(東欧経済ニュース2月9日号「英BP、ロスネフチとの提携でロシア合弁株主と調停へ」を参照)
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