2011/3/23

総合・マクロ

ロシアとトルコに不協和音、サウス・ストリーム計画めぐり

この記事の要約

ロシアのガスプロムがイタリアのエニなどと共同で推進するガスパイプライン・プロジェクト、サウス・ストリーム計画をめぐり、ロシアとトルコの間に不協和音が響いている。ガスプロムによる調査報告の未提出を理由に、トルコ政府が黒海海 […]

ロシアのガスプロムがイタリアのエニなどと共同で推進するガスパイプライン・プロジェクト、サウス・ストリーム計画をめぐり、ロシアとトルコの間に不協和音が響いている。ガスプロムによる調査報告の未提出を理由に、トルコ政府が黒海海底パイプラインの敷設に必要な建設許可を出していないためだ。これにより、同計画の遅延が懸念されている。

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ロシアのセチン副首相は、ガスプロムが調査報告を出せないのは、トルコ政府がこれの前提となる海底調査を許可していないためだとし、不快感をあらわにしている。本来ならば昨年10月のパイプライン建設許可が見込まれていた。しかし、海底調査に取り掛かれるのが6月となる見通しで、サウス・ストリーム計画の日程が大きく狂いかねない。

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ロシア政府はまた、155億ユーロと推定される総工費を抑えるため、パイプラインを代替、または補完する液化天然ガス(LNG)輸送も検討中だ。黒海沿岸や、ロシア北部のヤマル半島などにLNGプラントを設置する選択肢があるとしている。

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サウス・ストリーム計画は、欧州へのガス供給路を多様化するロシア政府の政策に沿うものだ。黒海海底に敷設するパイプラインでロシア領のLNGプラントからブルガリアにガスを運ぶ計画で、年間輸送能力は最大で630億立方メートルと見込まれている。

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■独ヴィンタースハルがサウス・ストリームに参加

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ドイツ化学大手BASFのガス子会社であるヴィンタースハルは21日、サウス・ストリーム計画を推進するガスプロム子会社、サウス・ストリームAGの株式15%を取得すると発表した。同時に、ガスプロムとヴィンタースハルが合弁で運営するガス供給会社WIIE(スイス・ツーク)に対する長期ガス供給契約も結ばれた。

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WIIEは1993年の創業で、ルーマニアとブルガリアの顧客にガスを供給している。

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