2011/3/23

チェコ・スロバキア

ドイツの原発モラトリアムで増益も

この記事の要約

チェコ電力最大手CEZがドイツの原発政策修正で予定外の利益を手にする可能性が出てきた。反原発運動が盛んなドイツでは、政府が日本の原発事故に敏感に反応。15日には昨秋決定した国内原発の稼働期間延長措置を3カ月間凍結するうえ […]

チェコ電力最大手CEZがドイツの原発政策修正で予定外の利益を手にする可能性が出てきた。反原発運動が盛んなドイツでは、政府が日本の原発事故に敏感に反応。15日には昨秋決定した国内原発の稼働期間延長措置を3カ月間凍結するうえ、原子炉17基のうち旧型7基の運転を6月半ばまで停止すると発表した。これを受け、ドイツだけでなくチェコの電力取引価格も上昇。Cyrrus証券のアナリスト、Hatlapatka氏は電力卸価格の上昇でCEZは最大10億コルナの追加利益を得ると試算している。現地のニュースサイト『Ceskapozice』が17日報じた。

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ドイツ政府は原発7基を停止しても国内供給に問題は生じないとしているものの、供給量の減少で卸価格の上昇は避けられない見通し。チェコなど隣国からの電力輸入量が増える可能性もある。このため、ドイツ政府が原発モラトリアムを発表した15日の欧州エネルギー取引所(EEX、ライプチヒ)のスポット価格は18%上昇。原発政策に変更のないチェコの中欧電力取引所(RXE、プラハ)でも23%上昇した。

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チェコでは、テメリン原発とドゥコヴァニー原発で計6基の原子炉が稼働しており、国内電力需要の約3分の1をカバーしている。同国のネチャス首相は「両原発があるボヘミア山塊は世界でも最も安定した地層の1つ」と述べ、日本の原発事故後もこれまでの原発政策を堅持する立場を明らかにしている。(1CZK=4.71JPY)

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