ロシア鉄鋼大手セベルスタリが北米事業の強化のため、米国政府から7億3,000万ドルの融資を受けることを計画している。米国子会社のSergei Kuznetsov社長によると、融資で調達した資金の一部はミシガン州ディアボーンにある製鉄所の拡張に充てる方針。同製鉄所では今後の需要拡大が見込める自動車向け鋼板を製造している。4日付の『モスクワ・タイムズ』が報じた。
\米政府は2008年、環境負荷の少ない自動車の生産促進を目的に250億ドルの支援プログラム「先端技術車両製造プラン」を発足した。セベルスタリは同プログラムの支援を受けるため、すでに同国エネルギー省と交渉を開始しており、同省によると、米政府から融資を受ける最初のロシア企業になる可能性が高い。同融資の利子はわずか2.5%で、同社の債務の平均利子7%を大きく下回っている(Kuznetsov社長)。
\セベルスタリは、2億8,000万ドルを投じてディアボーン製鉄所の生産設備を増設し、自動車向け軽量・高強度鋼板の生産能力を年90万トンに引き上げる計画。顧客層を従来のビックスリー(GM、フォード、クライスラー)から米国で現地生産する欧州、アジアの自動車メーカーに広げる狙いがある。米調査会社オートデータによると、今年の米国の自動車販売台数は1,290万台となり昨年の1,160万台からさらに拡大する見通しだ。
\セベルスタリは、業績改善を目指して北米事業の再編を進めている最中で、先ごろ3製鉄所(メリーランド州スパローズポイント、オハイオ州ウォレン、ウエストバージニア州ウィーリング)を米持ち株会社レンコ・グループに売却した。主に建設業界向けの製品を生産しているこれらの製鉄所で採算を取るのは難しいと判断したためだ。一方、ディアボーン製鉄所の増設や新たな製鉄所の建設には、今年だけで4億6,500万ドルを投資することを計画している。
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