ロシアの国営パイプライン運営会社トランスネフチは今年、パイプライン建設に総額1,616億ルーブル(57億米ドル)を投資する計画だ。アジアや欧州向けの石油・天然ガス輸送を強化する。3月29日付けの『モスクワ・タイムズ』が伝えた。
\ユーラシア大陸を横断してロシア産原油をアジアに運ぶ「東シベリア太平洋パイプライン(ESPO)」の第2期工事に839億ルーブルを投じ、アムール州スコボロジノ~ナホトカ近郊コジミノ港を結ぶパイプラインを建設する。また、既に敷設が完了しているESPOの第1期工事区間(東シベリア・イルクーツク州タイシェト~スコボロジノ)についても190億ルーブルをかけて輸送能力を年間5,000万トンに引き上げる。
\一方、欧州向けパイプラインであるバルトパイプラインシステム(BPS)の第2パイプライン(BPS-2)には207億ルーブルを投資する。BPSはチマン・ペチョラで生産した原油をフィンランド湾のプリモルスクに運ぶ全長約1,200キロメートルのパイプラインで、ベラルーシなど隣国を経由せずに原油を直接バルト海に運ぶことができる。
\ロシアは2006年以来、ウクライナやベラルーシなどのパイプライン通過国との紛争が原因で欧州へのエネルギー供給が度々滞った経験を受け、これらの国々を回避するパイプラインの建設を進めるとともに、供給先を多様化するため、アジア向けパイプラインの建設に力を入れている。
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