2011/4/6

ロシア

政府高官と国営企業役員の兼任を解除、大統領が首相に指示

この記事の要約

メドベージェフ大統領は2日、プーチン首相に対し、政府高官と大手国営企業役員の兼任を解く措置を7月1日までに実施するよう指示した。経済を政治から独立させるという2008年の選挙公約を実行に移すもので、セチン副首相やクドリン […]

メドベージェフ大統領は2日、プーチン首相に対し、政府高官と大手国営企業役員の兼任を解く措置を7月1日までに実施するよう指示した。経済を政治から独立させるという2008年の選挙公約を実行に移すもので、セチン副首相やクドリン財務相、ズブコフ第一副首相、シマトコ・エネルギー相などの大物が対象となる。今回の改革については、来年3月の大統領選に向けてメドベージェフ大統領がプーチン首相をけん制する動きとする見方がある一方で、大統領の単なるイメージ向上作戦とみる意見もある。

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大統領の指示は、政府高官が自己の管轄部門で事業を展開する企業の役員を務めることを禁じるものだ。プーチン首相は7月1日までに対象となる政府高官を企業役員職から解くための措置を講じ、10月1日までに後任役員の指名を完了しなければならない。ただ、ロシア企業の定期株主総会は例年5~6月に開かれるため、実際に高官が役員職を辞すのが大統領選挙後になる可能性がある。このことから、メドベージェフ大統領の真意を疑う声もあがっている。

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ドイツ銀行のリスヴォリク主任エコノミストは、「公約を実行するのが遅れたのは金融危機のせい」として、改革の成果に期待を寄せている。これに対して、モスクワ・カーネギーセンターが発行する政治雑誌『Pro et Contra』のリプマン編集員は「誰が新しい役員になるかが重要」と話し、まずは状況を静観する立場だ。国外投資家の信用を得るには今回の決定にとどまらず、これに続く施策が必要と指摘する。その上で、ひとつの決定で投資環境を劇的に改善させるというのであれば、ホドルコフスキー・ユコス元社長の有罪判決を見直すべきと述べている。

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なお、具体的に役員職を退く高官は以下の8名(カッコ内は該当企業名)。エネルギー部門を担当するセチン副首相(石油最大手ロスネフチ、石油ガス持ち株会社ロスネフチガス、電力大手Inter RAO)、クドリン財務相(国営銀行VTB、ダイヤ大手のアルロサ)、農業部門を担当するズブコフ第一副首相(農業銀行ロスセリホズバンク、酒造大手Rosspirtprom、農業設備リース会社ロスアグロリージング)、シマトコ・エネルギー相(水力発電最大手ルスギドロ、ガスプロム、国外石油鉱床の開発会社ザルベジネフチ)、レビチン運輸相(シェレメチェボ空港運営会社、アエロフロート)、セルジュコフ国防相(軍事サービス企業Oboronservis)、シチョーゴレフ通信相(通信投資会社、テレビ放送局チャンネルワン)、スクリニク農相(統一穀物会社)。ズブコフ第一副首相はガスプロムの役員も務めるが、管轄領域が異業種であるため、留任が認められている。

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