カザフスタンで大統領選が実施された3日深夜、現職のナザルバエフ大統領(70歳)は「過去20年間の実績が評価された」と述べ、事実上の勝利宣言を行った。現大統領の得票率は4日時点で95.5%。前回の選挙(2005年)の91%を上回っている。一方、欧州安全保障協力機構(OSCE)の選挙監視団は明らかな不正があったと批判を強めている。
\ソ連崩壊後の1991年以来20年にわたってカザフスタン大統領を務めてきたナザルバエフ氏は、国家の安定を最重要政策に掲げ、これまでに1,200億ドル以上の外国投資を誘致してきた。同国は石油・ガスなどのエネルギー資源や鉱物資源が豊富で、貧困層は存在するものの、生活水準は周辺諸国と比べれば高い。ただ、政治運営は強権的で、OSCEによると、「カザフスタンでは過去20年間、自由な選挙が行われたことはない」。
\今回の選挙では、ナザルバエフ大統領以外にも3人が立候補したが、いずれも同大統領とは敵対しておらず、そのうちの一人である環境保護活動家のMels Jeleusisow氏は選挙後に、「現大統領に投票した」と告白した。一方、反体制勢力は初めから選挙をボイコットすることを表明しており、国民にも投票に行かないよう呼びかけていた。OSCEの選挙監視団は◇1人の投票者が複数の投票用紙に記入した◇開票の仕方が不透明◇メディア活動が大幅に規制されている――といった不正を指摘し、選挙の正当性を疑問視している。
\与党のヌール・オタンが全議席を占める上・下院は昨年末、2012年および17年に予定される大統領選を中止して、ナザルバエフ大統領の任期を20年まで延長する国民投票を実施する案を全会一致で可決した。だが、同大統領は今年1月31日に来年の大統領選を前倒しで実施する方針を発表。今回の選挙につながった。ナザルバエフ氏は2005年の憲法改正で大統領三選禁止の適用を除外されており、当選さえすればいつまでも大統領職にとどまることができる。
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