2011/6/1

総合・マクロ

「ポーランドは民主化の見本」=オバマ大統領

この記事の要約

米国のオバマ大統領は5月27、28の両日、欧州歴訪の最終目的地となるポーランドを訪問し、欧州における民主主義の実現に向けた同国の貢献をたたえ、「近隣諸国の手本」と称賛した。その例として、ソ連崩壊の端緒となった80年代の連 […]

米国のオバマ大統領は5月27、28の両日、欧州歴訪の最終目的地となるポーランドを訪問し、欧州における民主主義の実現に向けた同国の貢献をたたえ、「近隣諸国の手本」と称賛した。その例として、ソ連崩壊の端緒となった80年代の連帯運動に加え、ウクライナ民主化への支援など、今日のポーランドの活動を指摘した。中東・北アフリカの民主化の動き「アラブの春」の支援でも、独裁制から民主主義への体制転換を遂げた中東欧諸国の経験が生きるとの立場だ。

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オバマ大統領はまた、中東欧20カ国の大統領を招いた27日の夕食会で、中東欧への関与を継続する意思を表明。同地域における「民主主義の強化と経済の発展プロセスをパートナーとして共に担って行きたい」と語った。

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ポーランドのコモロフスキー大統領との会談では、中東欧の民主化の経験を中東・北アフリカでどう役立てることができるかがテーマの一つとなった。また、ルカシェンコ大統領が反対派の弾圧を強めているベラルーシの状況についても意見を交わした。

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オバマ大統領は、F-16戦闘機およびC-130輸送機の練習機をポーランドに提供し、パイロットの訓練を支援する米空軍派遣隊を常駐させることを約束した。対ロシア関係改善に向けた米国の動きに対するポーランド政府の懸念に配慮した形だ。また、観光・商用目的での短期滞在でポーランド人の無査証入国を認める方向で、関連法の改正を進める意向も明らかにした。

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さらに、エネルギー分野では提携の強化を約束。米国企業がポーランドにおけるシェールガス開発に引き続き大きな関心を示していることを確認した。ポーランドのシェールガス埋蔵量は欧州でも最大級の5兆3,000億立方メートルと推定されている。

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親米派が多いポーランドだが、イラク侵攻をめぐる立場の相違や、ポーランド人に対する米国短期滞在ビザ免除の見送りなどで、最近は米国に対する見方がやや厳しくなっている。ワルシャワの世論調査センターによると、米国に好意的な国民の比率は現在43%で、18年前の調査開始以来で最低水準に落ち込んだ。オバマ大統領のポーランド訪問したのは就任後初めて。

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■中東欧が民主化のモデル

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オバマ大統領は、政変が続くアラブ諸国への支援を約束した19日の中東政策演説で、具体的な方策として国家債務の減額や国際機関による融資など、中東欧の民主化でも用いられた手段を挙げた。27日閉幕した主要8カ国首脳会議(G8)も、米国の提案に沿った民主化支援で合意し、200億米ドル規模の援助を表明した。また、中東欧への支援で実績がある欧州復興開発銀行(EBRD)に対し、アラブ諸国の民主化を支えるため、従来の対象地域をこれらの国に広げて活動するよう要請した。

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