2011/7/13

総合・マクロ

中東欧10カ国、そろってプラス成長に

この記事の要約

ウィーン国際経済比較研究所(WIIW)は7日、最新の景気予測を発表し、今年は中東欧諸国のすべてで経済が拡大するとの見通しを明らかにした。将来的には、欧州連合(EU)旧加盟15カ国の水準を超える成長が見込めるが、その伸び率 […]

ウィーン国際経済比較研究所(WIIW)は7日、最新の景気予測を発表し、今年は中東欧諸国のすべてで経済が拡大するとの見通しを明らかにした。将来的には、欧州連合(EU)旧加盟15カ国の水準を超える成長が見込めるが、その伸び率は5%未満で金融危機前のレベルを下回る。年内は輸出がけん引するが、来年以降は次第に内需も貢献する見通しだ。

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EUに加盟する中東欧10カ国の経済成長率は今年3.1%、来年2.7%、2013年は3.8%に上昇する。特に、金融危機の打撃が大きかったエストニア(2011年:5.1%)、ラトビア(3.6%)、リトアニア(5%)と、スロバキア(4%)、ポーランド(3.8%)の伸びが大きい。

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一方、加盟候補国では、トルコの成長率が今年6%に達する。マケドニアとモンテネグロはそれぞれ2%で、EU27カ国(1.9%)とほぼ同じ。加盟が決まったクロアチアは1%でEUを下回る。また、ロシアは今年4.5%、来年4.4%、2013年4.1%と穏やかに減速する見通しだ。

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危機前に比べると、個人、企業、政府のいずれも銀行融資や債券販売による資金調達が難しくなっている。これが経済成長のスピードを遅らせる一因となるという。

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中東欧EU加盟国の輸出はすでに危機前の実績を超えた。工業生産はまだ完全には回復していないが、国によっては危機前の水準に達しているところもある。来年以降は、雇用増加による賃金上昇で消費が活発化し、内需も経済に貢献する。これにより、輸入が増加して対外収支がやや悪化することが予想される。

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今年のインフレ率は、3.9%とEU27カ国の3%を上回る。エネルギーや食品の価格がここ数カ月急速に上昇しているためだ。来年と2013年はそれぞれ3%に落ち着く見通し。

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中東欧諸国の公的債務残高は西欧に比べると少ない。ハンガリーとポーランドを除けば、緊急に財務改革を実行する必要はなく、緊縮財政が景気に水を差す危険は小さいという。

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