2011/7/20

総合・マクロ

ズベルバンク、中東欧市場に参入

この記事の要約

ロシアの金融最大手ズベルバンクは14日、オーストリアの同業フォルクスバンクの中東欧合弁会社、フォルクスバンク・インターナショナル(VBI)を買収することで基本合意した。中東欧・トルコにおける事業展開の地盤を固める戦略の第 […]

ロシアの金融最大手ズベルバンクは14日、オーストリアの同業フォルクスバンクの中東欧合弁会社、フォルクスバンク・インターナショナル(VBI)を買収することで基本合意した。中東欧・トルコにおける事業展開の地盤を固める戦略の第一歩で、VBIを主体として他社の買収を進める方針だ。

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取引金額は明らかにされていないが、関係筋によると7億ユーロに上るもよう。月末までに正式契約し、年内に手続きを完了する。

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取引対象となるのはルーマニアを除くVBIの東欧事業。チェコ、ハンガリー、クロアチア、スロバキア、スロベニア、セルビア、ウクライナ、ボスニア・ヘルツェゴビナの8カ国で311店舗を展開し、資産総額は89億ユーロに上る。最終損益は、2009年の3,330万ユーロの黒字から昨年は2,240万ユーロの赤字に転落した。従業員数は約4,000人。

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ズベルバンクはこれまで自国事業の強化に注力してきたが、収益力の改善に向けて中東欧・トルコ市場に目を向けている。グレフ頭取によると、2014年までに収入の5~7%を国外事業で稼ぎ出す目標だ。これまでに、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに進出済みだが、今年第1四半期の総収入に占める比率は2.3%にとどまっている。なお、西欧市場への進出は予定していないという。

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VBIはフォルクスバンクと仏BPCE、ドイツのDZバンク、WGZバンクの合弁事業で、ズベルバンクは4行の持ち分をすべて買収する。

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■中東欧の銀行業界再編へ

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中東欧経済は今年5.3%、来年は3.2%の拡大が予測され、ユーロ圏(今年2%、来年1.7%)より早い成長が見込まれる。これに加え、クレジットカードや融資・住宅ローンの利用がまだ浸透しておらず、銀行の商機は大きいとみられる。

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一方で、本国事業の財務改善や、公的支援の条件を満たすために中東欧事業の放出を考える銀行は少なくない。このため、業界再編が活発化するのは間違いない情勢だ。

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